顕在意識と潜在意識 騙されていませんか?
潜在意識とは、過去の経験などによって無意識のうちに蓄積された価値観・習慣・思い込みから形成された、”自覚されていない意識”です。潜在意識に最初に注目したのは、オーストリアの精神科医・フロイトとされています。この潜在意識の対義語は顕在意識で、積極的に何かを”しよう”と考える、常に表面化している意識のことです。
無自覚で表面上に現れない潜在意識に比べ、表に現れる顕在意識は意識全体の1割程度とされ、全意識の9割は潜在意識であると言われています。タイトル画のように、意識を氷山に例えると、私達の自覚している顕在意識は海面上に出た10%程度の部分で、無自覚である潜在意識は水面下にある90%以上の大部分を占めているということです。
意識全体の9割以上を占める潜在意識は、言動や思考を支配していて、日常行動、ひらめきや直感、非常時・緊急時の対応などの決定に影響していると考えられています。ここまで読んで、「なるほど・・・」と素直にうなずいた人は、騙されやすい人かもしれません。
少し冷静に考えてみて下さい。顕在意識が10%で潜在意識が90%という数字は、どのように推定(測定)したのでしょうか。人間の心理を、定量的に測定する技術は聞いたことがありません。そもそも”意識の量”を定量的に測定できるとは思えません。心理学などでは、”カウンセリングを通して、潜在意識を言語化して顕在化することができる”とされていますが、本人も自覚していない意識を他人が理解できるものでしょうか。ましてや、”意識を量的に見積もること”が可能でしょうか。
どうも潜在意識は、都合の良いように使われることが多いようです。本人ですら自覚できない意識ですから、他人から「あなたの潜在意識は○○ですよ」と言われれば、否定する手段がありません。本人も答えを知らないわけですから、合っているか間違っているかは誰にもわかりません。
意識を定量化するためには、”意識の定義”を決めなければいけません。数値で測れる物理量は、例外なく定義が決まっています。意識を定量化したいのであれば、”意識の定義”が重要ですが、かなりの難問になるでしょう。デカルトは「我思う、故に我あり」と言いましたが、ここでも、”思う”つまり意識の本質(定義)が示されてはいません。
意識を突き詰めれば、”脳内のシナプス中の電気信号”になるのかもしれません。ただし、その電気信号がどうして”意識”を獲得できるのかは私には理解できません。ところで私は、「意識は目に見えないので重要ではない」と主張しているのではありません。目に見えないからこそ、意識は重要なのです。いつか”意識の可視化”ができれば、ノーベル賞がもらえるかもしれませんね。