古代布・原始布をたどる映画「倭文(しづり)旅するカジの木」
糸が紡ぐご縁…
ひとつ前の記事とも繋がるのですが、綿の糸紡ぎをしに世田谷の Tokyo Cotton Village さんを訪れたのが、今年4月。
そこで出会った、ベンガラ染めのかお先生 は、なんと同じ横浜市金沢区に在住、めっちゃご近所!
しかも、ベンガラ染めのルーツは、その名のとおりベンガル地方(夫の母国バングラデシュ周辺)の酸化鉄を含む赤土による、草木染よりも古くからあると言われる泥染めということで、
そのかお先生のお薦めで観に行くことが出来たのが、この映画「倭文(しづり) 旅するカジの木」
映画を観に行く数日前に、TOLANDVLOGさんのYouTube動画で、大嘗祭の麁服(あらたえ)について見ていたので、なんだかとってもタイムリー💞
映画「倭文」の中には、三木家にあるカジの木で織られた反物が登場するのですが…
それは画面越しに見ても、宇宙に飛んでいってしまいそうになるような、えもいわれぬ、言葉にならないものでした…
日本では、年末に鏡餅をそなえ、お正月に玄関に門松を飾り、それらも、神の依り代(よりしろ)とされますが、
天皇陛下が即位されて初めての大嘗祭に、絶対に必要とされる「鹿服(あらたえ)」は、まさに特別の中の特別!
映画に登場した反物を越える素晴らしいものなのでしょう…
TOLANDVLOGさんのインタビュー動画を見ていただくとわかりますが、あらたえは、作り手と、それを着る天皇陛下以外は、見たり触れたりしてはならず、儀式のあとは保存もしないと言われているため、
古代から続く特別な儀式とその必需品でありながら、私たちの目に触れることはないわけです。
映画の中では、麿赤児さんの舞踏と共に、日本の神話が語られるのですが、そのあらすじは、
「地上を邪神が荒らしているため、二柱の武神が遣わされるが、どうしても星の神だけは制圧できず、機織りの神である倭文神が星の神を平定する」
というもの。
武術の神ですら、制圧できないものがあるということ。それが星の神であり、それを制するのは、機織り(布)の神であるということ…
なぜ、武神は星の神を制圧できないのか?
なぜ、機織りの神が、星の神を平定できたのか?
その答えを探るべく、京都の帯匠 山口源兵衛さんをはじめとする、染め、織り、和紙の専門家たちによる「カジの木(樹皮)」から産み出される生地、イマジネーション、製作風景も圧巻でした…
ファストファッションとは、真逆の世界です
以前、日本の綿の歴史を調べた時にも、倭文とカジの木のことは、触れられている記事などを見かけることもなく、全く知りませんでした
綿もカジの木も、その種を持って移住してきた人たちがまいたところから、始まっている…
そしてアジア一帯というのは、海洋民族によって、不思議な繋がりがある…
日本書紀に描かれているという倭文神の物語も、インドのラーマヤナに通じるものがあり(邪神が世界にはびこり、武神でも制圧しきれないという流れ)
ラーマヤナでは「悪魔を倒せるのは人間だけ(神には倒せない)」
倭文神は、機織りと布の神
アダムとイブは、知恵の木の実を食べてしまい、裸を恥ずかしいと思って衣をまとったことで地に落とされた…
ラーマヤナでは、ヴィシュヌ神が人間「ラーマ」として神であることを忘れて地上に生まれ、魔王ラーヴァナを退治する
現人神 あらひとがみ
日本の天皇陛下は、古代から続く神の家系とされています
神だけど人、人だけど神
そんな文化を持ち、2000年以上も継承してきた国は、世界広しといえど日本しかありませんよね。
映画の中に登場する顔に入れ墨を入れるパプアニューギニア、インドネシアの部族の方々を見ていたら、
TOLANDVLOGさんのラピュタ人と巨石文明の考察動画を思い出しました☺️
はるか7000~10000年以上前の人たちは、世界地図もGPSも、大きな船もないのに、
たどり着く先が見えない海に、星を見てこぎだしていったのも、不思議なことですよね✨
限られた物しか持っていけないであろう航海に、衣類に関わる「種」を持っていった
しかもカジの木は、繊維にするにも、糸にするにも、布として織るにしても容易なものではないのに、それでも最上の衣を作るためにその種を選んで持っていった…
どれほど特別なものだったかは、計り知れないです
日本語でも、衣食住と、なぜか最初に「衣」がきます
「服用」というと、薬をのむという意味ですが、それは昔は、服に薬効成分を含ませた草木染などをして、皮膚から治療した、という歴史ある言葉だそうです✨
先ほどのナオキマンとの対談に登場する保江邦夫先生によれば、人は受精したあと、最初に皮膚から出来るのだそうです😲
私たちがまとう衣類、ただ着る、ただ見た目がよいだけじゃなく、見えないエネルギーがそうとう影響してるのでしょう
経皮吸収・経皮毒ということも解明されていて、特に女性は、女性器からの吸収率が爆発的に高く
腕の内側を1とした場合、女性のデリケートゾーンからの吸収は、なんと42倍とも言われているそうです!
私が裁縫に取り組むようになったきっかけも、スペースムウ さんの生地と布ナプキンからでした🥰
布、糸、生地、素材、原材料…
まだまだ奥深い世界が広がってそうです
映画「倭文(しづり) 旅するカジの木」は、全国で順次、公開中です!
日本神話、布、染め、織りに関わる方々は、ぜひ一度、ご覧ください❣️