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ペリカン スーべレーン M800 を買った

仏壇万年筆を2本買ってみて一通り雰囲気を味わってまぁぼちぼち飽きるだろうと高を括っていたのだが、予想に反し日常的に利用し続けている。実用的には細字と中字の2つの字幅の使い分けで満足しているのだが、やはり使っているといろいろと欲が出てくる。

万年筆というのは基本的にワンパッケージの商品で、恐ろしいことに「見た目、軸の太さ、インクフロー、書き心地、字幅」などの各要素を部分的に変更するということが(基本的には)できない。スプラトゥーンのメイン・サブ・スペシャルが固定されているのと同じで、「スペシャルだけこっちに変更するか」という部分調整がきかない。

なのではじめにしっかりと自分の要求・期待を整理しないとコンセプトがボケた買い物になってしまうし、しっかり整理してもその通りの買い物が必ずしもできるとは限らない。精度をあげるためには試筆をするなどの下調べも有効なようではあるが、一方で個体差も大きいようで結局買って帰ってインクを入れて書いてみないことには何が手に入るのか確実なことはわからない。もっと言えば使っている紙との相性もある。使っているうちに書き味が馴染んでくることもある。この辺りがデジタルガジェットと大きく異なるところだ。

そういうガチャ要素のある製品なのだが、ちょっといいものを買おうとか思うと軽く5万円を超えてくる。それでうまく当たりを引いてなにができるかというと、紙に字が書ける。動画も見れないしFF16もできない。正真正銘の嗜好品だ。

今回の要求

しばらく国産メーカーの2本(3776センチュリー細字、カスタム74中字)を使っていて、基本的には満足しているものの、以下のような細かい追加の要求を感じ始めた。

1.もう少し太軸が欲しい
受験時代にドクターグリップをずっと使っていたので太軸のペンが好みだ。なので手持ちの万年筆がちょっと細く感じている。

2.もう少し装飾的なものがほしい
仏壇万年筆を一旦味わえたので、もう少し華のある軸のペンが一本欲しい。また、ベスト型(端が平らになってるやつだ)を一本使ってみたい。

3.海外の有名メーカーのものが一本ほしい
日本製のエントリークラスから買ったので、次は海外製のものを使ってみたい。また、情報を仕入れる際に動画やブログなどの使用レビューを見ることになるわけだが、比較の基準としてよく登場するメジャーなものが手元にあるとわかりやすい。ので、メジャーな製品だとよい。

4.もうすこしインクフロー抑えめの中字がほしい
比較対象はカスタム74中字で、これがめちゃめちゃインクフローがよいせいかちょっと太すぎる、紙によってはにじむ印象がある。 LAMY サファリの細字がちょうどよく感じるのだが、 LAMY サファリは軸のカジュアル感が強いので、もう少し強そうな軸でこれぐらいの字幅のものがあると嬉しい。

スーべレーンM800を買った

という選定基準で、ペリカンのスーべレーン M800 を買った。海外製で人気も高く、ストライプの軸も高級感がありながら華がある。天冠のペリカンマークも華美すぎず堅すぎない。インクフローもたっぷり系のようだ。

もう少し太軸のものを使ってみたいのだが、それは別の機会に譲ることにする。 M1000 と迷ったが、総合的に M800 の製品としての鉄板感を強く感じたのでこっちにした。字幅は細字で色はブルーにした。

丁度ヨドバシがオンラインで文房具セールをやっていて、だいたい1割引、さらにポイント10%がついた。安い。高いけど。

※ちなみにヨドバシ、店頭で買うとヨドバシ以外のクレジットカードの場合はポイント還元率が8%になるが、オンラインで買うと10%のままということを今回初めて知った。実物を見れないのは気にはなるが、手軽さと安さのメリットが大きいので今回もオンラインで購入した。

で、使ってみて、すべて期待通りの一本だった。
特にインクフローと字幅については事前に動画と文字情報だけで選定したので不安が大きかったのだが、期待していた通りだった。重さや長さについては趣味の文具箱から出版されている “万年筆とインク入門” を読んで他のペンと数値比較するのが想像しやすかった。この本、通常の長さと筆記時のキャップポストした長さをそれぞれ書いてくれているので比較しやすい。重さも書いてくれている。

M800 は重さがやや重めな部類のようだが、僕は重いペンが好きなのでちょうどいい。密度があって高級感を感じられる。

書き心地はスイスイ書ける感じで、細字でカリカリしたペンとの使い分けによさそうだ。細字だと字も小さくなり方眼に詰め詰めで書く感じになるので、ゆったり書くにはこれぐらいの書き心地がいい。

5mm方眼に書いた感じ

今回初めて吸引式(軸自体がインクタンクになっていてコンバーターやカートリッジではなくそのままインクを吸う)のものを選んでみた。利点は追加の付属品がいらないこととインク量が多く入ることで、気になるところはメンテナンスに気を使う(コンバーターなら最悪インクが固まってしまってもそこだけ買い換えることができるが軸と一体型だとそこを使い捨てられない)こと、軸によってはインク残量がわからないことが挙げられる。

スーベレーンは過去モデルではストライプの間が透明でインク残量が見えたらしいが、最新のモデルではここが不透明な黒になったので見えなくなったようだ。僕は結構残量を気にしてしまう方で、ちょいちょい軸を開けてコンバーターをチェックするのだが、見てどうだ、というものでもないので見えないなら見えないで諦めてインクが切れるまで書くことになり無駄なことに意識を使わずに済む、という考え方もある。大きな問題ではなさそうだ。

ペリカンの天冠がかわいい

買ってよかった

ただ字が書けるだけのアイテムで、いちいちインクを吸うだのメンテナンスだのが必要で……ビジュアルもなんかこう……よくわからないけど昔はこういうのが格好良かったらしいよ、みたいな……昭和の高級品的な……そんな感じのペンを、まさか自分が「新しいゲームが欲しいよぉ」のテンションの延長で欲しがるようになるとは……演歌とかもそのうち聴くようになるのか俺……?

しかし買ってよかった。本当に満足した。で、買ったら買ったでもう少し太い軸のペンが欲しくなったり、同じ軸で細字の色違いも試してみたくなる。際限がない。

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