万年筆を買った #2
初・万年筆で LAMY のサファリを買ってしばらく使ってみた。書き心地が気持ちよいし、今のところ日常的に使っているので、せっかくだからもうすこし万年筆を買い足してみることにした。
で、エントリークラスの金ペンを2本、安価な鉄ペンを2本買った。インクも何色か買って吸わせてみた。
プラチナ万年筆 #3776 センチュリー (F)
LAMY のサファリは最初の一本としてとてもよかったのだが、いかにも万年筆な仏壇の金ペンも触ってみたくなったので、エントリークラスから探した。
で、機能比較するとプラチナ万年筆のスリップシール機構がよさそうだった。長期間放置してもインクが乾きにくい仕組みらしい。それで #3776 センチュリー を選択して使ってみたところ、使い勝手も書き心地もよかった。今のところこれがメインになっている。
太さは F にした。サファリの F がちょっと太かったので、あらためて国内メーカーの F が欲しかったため。太さは同じ表記でも国内メーカーの方がワンサイズ細いらしい。いいねこの初見殺しの暗黙知。いちいち蘊蓄がある。おかしみあり。
評判通り書き心地はカリカリしていてシャーペンのようだ。5mm方眼におさまる幅で文字を書くのにぴったりで、オールマイティーに使っている。大げさに言うと針の先端で紙を引っ掻いているような鋭利さを感じる。
インクフローはやや渋めだろうか。かすれもしないが、たっぷりではない。ちょうどよい。とりあえず付属のカートリッジインクを使っている。
黒軸に金リングの、いかにも万年筆なものがまず一本ほしかったので満足できた。
あとはサファリが嵌合式だったので、ここではじめてネジ式のキャップに触れたわけだが、これほんとにクルクル回してキャップをはずして後ろにつけてから書くんだなぁ、とあらためて思った。まぁ面倒臭いと言えば面倒臭いのだけど、今のところ書き始める予備動作・儀式としてよい間になっている。手持ち無沙汰感が薄まっていい。
僕は書きながら頻繁にキャップをつけ外しするので、いちいちうしろにキャップをつけずに書けたら楽かなぁと思ったが、バランスとしてキャップオンすることを前提としているのだろう、それだと短く感じる。
しかしなるほど、万年筆は増えるというが、書いていると「せっかくインクを使ってるわけだしもうちょっと太字でインクフローがぬらぬらしたものも1本使ってみたい」という気分になった。
パイロット カスタム74 (M)
で、調べると、パイロットが直近で大幅に値上げをするらしいので、せっかくだし今のうちに一本買っておくかと思いこれもエントリークラスの定番品を買った。仏壇万年筆2。
だいぶ慣れてきたので、コンバーターを買い足してインクを吸い上げてみた。これがきっと引退要素でクソ面倒なんでしょ……と構えていたのだが、ビンに突き刺して吸い上げるだけだったので大きな手間ではない。とはいえ、ペンの先端が一旦インクに浸るため、ここでいよいよインクを拭くなどの万年筆的アクションが要求された。電子レンジで冷凍食品を温めただけではたして自炊をしたと言えるのか、という問題同様に、やはりカートリッジを使用しただけでは「これで本当に万年筆を体験したと言えるのだろうか」という疑問があった。これでばっちり入門だ。
カスタム74は #3776 センチュリーに比べるとインクフローがたっぷりしていて、しっとりした字が書ける。全然紙との摩擦を感じない。筆圧もほとんど不要でなめらかに書ける。
太目の字幅なので5mm方眼におさめるとちょっとキツいが、7mm幅に書くとちょうどいいぐらいだ。僕は5mm方眼のロディアと7mm罫のツバメノートを併用しているので、使い分けるのがよいだろう。
インクフローがよいので消費量が多いのか、最大容量までインクを吸えていなかったせいかわからないが、数日でインクが切れた。ボールペンではこんなに頻繁にインク残量を気にすることはないので手間といえば手間だが、まぁこれも楽しめる範囲の手間だ。短いサイクルで使い切った達成感を感じられる、とも言えよう。
インクは最初に色彩雫の山葡萄をつかってみたが、これはインクの性質なのか紙との相性なのか、あるいは色合の性質なのかわからないがややにじむ印象があった。次に深海を使ってみるとこちらは気にならなかった。
カクノ(M)、プレピー(細字)
何種類かインクを買ったので色をためしてみたくなり、安い万年筆を2本買って入れてみた。どちらもスケルトンでインク色が見やすい。試し書き用なのでクリップがないカクノのフォルムがシンプルで好みだが、プレピーの方がスリップシール機構が搭載されていて機能的ではある。
低価格帯なのでペン先が鉄なわけだが、 newbie には違いがわからない。そうだと言われてみれば、金の方が柔らかいような気がしないこともないとは必ずしも言い切れない、という感想だ。目隠しをされたら当てる自信はない。メンテナンシビリティの方には差が出てくるのかもしれない。
増えていく万年筆
というわけで、あっという間に4本増えて5本になった。
仏壇万年筆が机の上に二本並ぶと「なんか俺、万年筆さわったね」みたいな気分がとりあえず味わえる。
ただ、どちらも触ってみて「意外と小さくて細いんだな」という第一印象があった。万年筆のサイズ感について相場の知見があったわけではないのだが、僕の無意識の中に漠然と存在していた万年筆像はもうすこし太くて大きいものだった。まぁ小さい方が取り回しやすいんだけど、そもそもそんなに持ち歩くつもりもないし、自宅の卓上で使うだけだからもう少し存在感のある太軸も触ってみたい……
というわけで太軸を1本発注している。たしかにこれは増えてくね。
ついでにメーカーやら基礎知識やらについて知見を得るために一冊本も読んだ。色々なメーカーのペンの写真があってわかりやすかった。なによりペンの長さが書いてあるのがいい。長さの数値比較をいちいち調べまわるのは面倒なので。