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AirPods Pro 2 を買った(2年前に)
今年は AirPods Pro のハードウェアがアップデートされなかった。今のところ 2022年の発売日に買った AirPods Pro 2 になにも不便を感じていないので出費がかさまず助かった。これまでの AirPods はバッテリーがヘタってしまったりして2年ぐらいで使用に問題が出てくる印象があったので、これは嬉しい想定外だった。
AirPods Max のアップデートが来たら買ってみようかと思っていたのだが、ちょっとマイナーアップデート(Type-Cになった+カラバリ変更のみ)すぎて悩んでいる……カタログスペックだけで語るものでもないと思うが、Pro2 のスペックが一部 Max を追い抜いている印象もあり、買うなら次回かな……しかしまた間が開きそうな製品ではあるのだが。
振り返ってみると AirPods はもう長いこと買い替えて使い続けていて(AirPods 初代 > AirPods Pro 初代 > AirPods Pro 2)現在2年間 Pro 2 を使用している。どこへ行くにも持って行くし、体の一部となっている。
僕と AirPods
まだワイヤレスイヤホンというものが一般的でなかったころ(2016年ごろの話だ。8年前……)僕はこのタイプの製品に対して疑いを持っていた。その頃はまだ iPod nano を使っていて、仕事中に音楽再生専用機として有線イヤホンをつけて使っていたのを覚えている。ラジオも聞けていいデバイスだった、iPod nano。
僕が AirPods およびワイヤレスイヤホンに対して懐疑的だったのは以下の理由による。
バッテリー管理が面倒くさそう(こまめな充電が必要、ヘタったら交換不可)
使うたびに接続設定するのが面倒くさそう
突然無線が切れて本体から音が出るリスクあり
中でも、3つ目の使用中に突然無線が切れるリスクについては許容できないと考えていた。僕は当時職場で音楽を聴きながら仕事をしていたため、イヤホンが接続されていると思って音楽をかけたら音が爆音で流れてしまった……という事態を厳密に回避する必要があった。
当時はまだ iPod nano を音楽再生専用機として使っていて、それ自体に物理的に音を出す機構が備わっていなかったため、仮に有線が抜けても事故るリスクはない、という運用上の強い安心感があった。当時から iPhone ユーザではあったが、 iPhone は単独で音声出力できてしまうので、なにかの拍子に音が流れてしまうリスクがあるため音楽再生用途では利用していなかった。モバイルで Youtube を見る、みたいな習慣もなかった。
まだ「耳からうどん」の揶揄が有効だった頃の話だ。
でも AirPods について調べてみると、 Apple 製品間の連携がしっかりしていて懸念していた接続の不安定さはなさそうに思えた。また、ケース自体が充電器になっているというアイディアも悪くない。バッテリーがヘタたったら買い替えになるというリスクは残ったが(そしてそれは後に顕在化するのだが)一度試してみてもいいだろうと思ってためしに買ってみた。
当時、 iPod nano は AirPods に対応していなかったのだが、一般的な Bluetooth イヤホンとして接続することはできたので、はじめはそれで使い始めた。それなら無線が切れても本体から音が出る心配はない。でも使い始めたらめちゃくちゃ便利だったので、すぐに iPhone に繋げて使うようになった。
イヤホンの概念がアップデートされた
僕はデバイスの運用の煩雑さ、運用コストをとても煩わしく感じるタチで、再生するときにいちいちしっかり接続を確認するだのという手間を許容するつもりがなく、もし上述の無線の不安定さによる問題を一度でも感じたら二度とこのイヤホンは使うまい、と最初に決めて使い始めた。その時はまだ製品として完成していないと考えて、有線イヤホンに戻すつもりだった。
で、驚くべきことなのだが、それから8年以下のストレスを感じた記憶が一度もなく今日に至る。
使用時にイヤホンに接続する設定の手間( AirPods を耳に入れると勝手につながる。ケースにしまうと勝手に切断される。8年間、一度もミスなく正確に動作し続けている)
イヤホン出力してると思ったら本体から音が流れてた事故
iPad, iPhone など複数の製品の切り替え時の設定ストレス(音を流した方の端末に勝手に切り替わってくれるので意識したことがない)
聞こうと思ったらバッテリーがない間の悪さ(ケースで息継ぎしてくれるので、本当に一気に長時間使ったときしかバッテリー切れしない。なので、作業の出鼻をくじかれることがない。長く使った時は、バッテリー切れるぐらい集中したな、という満足感を感じる)
(当たり前だが)ケーブルをいちいち接続したり、ケーブルが絡まったりする手間
今となってはどれも日常的に恩恵を享受しているので目新しさもないのだが、こういう基本的な機能の安定性について、製品相性だとか設定だとかを自分でいちいち考えなくても確実に担保してくれるという信頼があるのは購入する上でとても重要なところだ。
電子機器だし、まだ小慣れていない製品なので、きっと不安定なところもあるだろうと思いながらおっかなびっくり使ったのだが、全然そんなことはなかった。まぁ新製品だし安定性はご愛嬌で、みたいなエクスキューズをまったく感じなかった。
思い返すとこの体験で Apple 製品同士の連携の強さを感じ、同一メーカーで揃えていくことのデメリットよりもメリットの方が大きいという感覚をより強めたような気がする。もともとワイヤレスイヤホンというプロダクトについて懐疑的だったからこそ、それを裏切ってくれたときのブレイクスルー感は大きかった。
他社の製品を組み合わせて同じような運用をすることもできるのかもしれない。でも、 Apple 製品同士なら、製品が「できる」と言っていることは検証やら設定やらの手間をかけず、条件によってはうまくいかなかったりするようなこともなく、確実に機能を保障してくれるという安心感がある。結果的に僕の用途にあわなかった、というケースはあるかもしれないが、それはこちらの想定不足として納得できる。でも「できる」と書いてあったことが使ってみたらできなかった、ということはない。僕は金を払って買ってきた製品がうまく動くように設定や検証に時間を割くのがもう本当に嫌いなのだ……
というわけでこの AirPods の体験は、大きく Apple への啓蒙を高めた。
これまでの AirPods たち
とはいえ、どれも完璧だったというわけではなく、問題もあった。
初代 AirPods (2016)
上述の通りイヤホンの再発明となった。「いつかこれが当たり前になって耳からうどんとか言われなくなるよ」みたいなことを誰かが言っていたが、いつのまにか本当にそうなった。iPhone の時ほどの派手なアップデートではなかったが、間違いなくこれを境に製品の基本要件が変化した。
ただ、バッテリーが2年ぐらいでヘタって、1時間ももたなくなってしまった(ケースとの接触も悪くなったのかな?)のと、これは個人的な相性なのだが耳の形とあわず、動くとポロポロ勝手に落ちてしまうのに悩まされた。
初代 AirPods Pro(2019)
コロナ禍が始まる直前、「今、あんまり人が集まるところに行かない方がいいらしいよ」みたいなムードの中、都内の Apple Store に買いに行った記憶がある。
カナル型になってしっかり耳にハマってくれて一気に装着感が向上した。ノイズキャンセリング機能の追加も嬉しいアップデートだった。外音取り込みがあったので、開放型の初代と同じぐらい、とまではいかないものの、外を歩くときにも開放感がある。
ただ、使っているうちに左側からひどいノイズが出る不具合が発生した。これは製品に問題があったらしく、交換の対象となってしっかり対応してもらったのでそこについて不満はない。
AirPods Pro 2
不具合には悩まされたものの、交換もしてもらったし、基本的には AirPods Pro 初代で満足しており、強い買い替えの動機はなかった。4万ぐらいするし…… でも2022年に会社がフルリモートから出社とのハイブリッドになり始めて、まぁ外出する機会も出てきたし景気付けに買うかと思って買った。
で、2年ずっと使っているが、今のところ文句をつけるところがない。
Pro1 > Pro2 の一番大きな変化は音質との触れ込みだったのだが、僕はまったく音質に拘らない方で、音が出りゃいいやと思っているので贅沢な買い替えになるなぁと思いながら買ったのだが、そんな僕でも最初に音を出した瞬間にすぐに違いがわかるぐらいの圧倒的な音質の違いを感じた。なんでこんな小さいプルタプみたいな物からこんな低音が出るのかいまだによくわからない。
それから2年使っているがバッテリーも今のところ全然ヘタっていない。最近アップデートで、首を振るジェスチャーが追加された。散歩していると「ウォーキングのワークアウトの記録をしたいか」と問いかけられ、うなずくと記録してくれる。忘れがちなのでとても便利だ。Apple Watch も震えて通知だけはしてくれたのだが、これなら首を振るだけで操作も完了する。
Max もほしいです
振り返ってみると AirPods は Apple 製品を買い揃える大きな動機になり、買い揃えていくことでさらにその価値を発揮する好循環の起点だった。 Apple TV とも接続でき、遅延もないので自宅のテレビで映画を見る際に夜中でも大音量で見れる。空間表現や低音も僕にとっては十分で、ホームシアター感もしっかりある。
あとは、イヤホンという製品の都合上これは仕方ないのだが、耳の中の異物感・蒸れを感じる場合が多少ある(風呂上がりとかにはつけたくない)のと、ケースを開けて片方づつ出し入れするのがやや面倒な場合もある(落っことしてなくしそうだ)ので、冒頭に書いた通りヘッドホン型の Max の購入も検討し始めている……しかし、せっかく2倍の値段を出すなら、カタログスペックや機能にももう少し差があって欲しいのだけど…… Pro 2 が優秀すぎる。