3-7.クロージング
〜クロージングとは〜
クロージングは、今回の架電に至った事情をお伝えした上で、きちんとした詳細を知って頂く場を作る約束を取り付けるという、スポーツで言う所のシュートシーンです。
架電は、約束がなく相手の方の状況も様々で、持ち時間に限りがある中でのトークになりますが、
設定した商談は、約束された場です。
1時間、こちらに向き合ってくださる約束がなされている場です。
言うまでもなく、この決定を頂くことが、成約に向けて必須です。
架電時の相手の方は、それぞれの状況や思考の幅の中で揺れています。
私達の在り方や言動次第で、ポジティブにもネガティブにもなれます。
シュートシーンにおいて、どのような手法がポジティブにお導きできるのか、記してまいります。
〜クロージング注意点〜
クロージングにおいて、基盤となる考え方があります。
・段取り上手な長男長女になる
先ほど触れた通り、相手の方はポジティブとネガティブの間で揺れています。
こちらから、持ちかける商品・サービスは、大抵の場合『あったら良いもの』であり逆で言うと『なくてもいいもの』です。
極論どちらでもいいものをポジティブにお導きする上では、クロージングという工程は、相手の方の負担が最も大きい場面です。
時間を投資して、予定確認をして、約束を守る義務が生じるからです。
クロージングトークの途中で、こちらがマゴマゴしていたり、相手の方の予定確認が難航して決めきれなくなってしまったりという機会損失はもったいないです。
相手の方の負担を最大限カットして、身を委ねてもらい、こちらが主導して設定まで進める意識を持ちましょう。
まるで『長男長女』のようなリーダーシップで、場をまとめ上げていくのです。
・ラストの瞬間まで気を抜かず集中
読んで字の如くですが、設定完了後に切電するまでの時間は、設定に合意して頂き面倒な時間調整に協力して頂いた感謝と、頂いた場を必ず役に立つ良き時間にしますという誠実な想いを持って接します。
対面の社内商談時に、お客様を出口までお連れして、丁寧にお辞儀をしてお見送りするイメージで、気を抜かずにご挨拶しましょう。
〜クロージング技術〜
電話営業におけるクロージングならではの手法がいくつかあります。
・序盤で質問を挟まずに設定に移る
アウトバウンドでは特に重要な要素になります。
ヒアリングの問いかけから、それを根拠にクロージングする流れが、もちろん美しいと思いますが、
返ってそれが仇となり、NG理由を助長してしまったり、煩わしさを作ってしまったりで、設定出来ないケースが見受けられます。
アウトバウンドでは、ヒアリングは後付けにして、まずはファーストシュートを打ってみてください。
その後のアウト内容に応じて、感性あるいは理屈面の補強をして再度シュートを打つループになります。
・『普段今くらいの○時のお時間帯ですと(社内に)いらっしゃること多いですか?』
日時設定の際に、最大限相手の方に負担をかけないための問いかけです。
商談設定の完全合意の意思表示がない中で『お時間いただけませんか?』『○時はいかがですか?』という問いかけは、重さを感じさせてしまうニュアンスがあります。
現に今お話をしている時間帯であれば、社内のデスクにいて、比較的お邪魔になりにくいと仮定して、『普段』『今くらいの○時のお時間帯だと』『いらっしゃることが多いですか?』と、あくまで普段の通常時のスケジュール感を聞くのです。
クロージングの圧迫感を出さずに、さらっと聞いてみましょう。
ここでyesを頂いたら、即座に『ありがとうございます』とお答えして(図々しいかもしれませんが)、
次は具体的な日程と時間を指定して、『例えばなのですが、○日の○時はお席にいらっしゃいますか?』と聞いて確定します。
あくまで、言葉としては、いらっしゃるか聞いているだけで、そこから柔らかく設定していく流れです。
・設定に難航する場合はピンポイントで日時を振っていく。『じゃあ、こうしましょう』も有効
なかなか先の見通しが分からず、設定に難航する場合があります。
来週も再来週も『ちょっとどうなるかまだ、、、』というようなケースです。
この場合、言葉だけから察すると、近い日時設定は不可能に感じますが、
試しにピンポイントで『○日の○時は社内にいらっしゃいますか?』と聞いてみます。
すると意外に『あ、そこはいるかも』と仰っていただけるケースがよくあるのです。
また、約束してしまっても流動的で何か入ってしまうかもという理由で決めきれない場合は、『じゃあ、こうしましょう』と切り出し、一旦設定をして、『万が一何か入ってしまったらご一報ください』と告げます。
『じゃあ、こうしましょう』は決めきる主導をする上での切り札のフレーズです。
〜まとめ〜
以上ような技術を用いて、気持ち良く取りこぼしなくクロージングシーンを展開して機会を創出していきましょう。
また、相手の方の持ち時間の限り、相手の方に嫌われていない雰囲気である限り、シュートは打ち続けるべきものです。
こちらが弱気になってしまったり、常識に囚われ過ぎて引いてしまう事がないように気をつけましょう。
優れたサービスを知っていただき相手の方の役に立つチャンスであり、優れたサービスを社会に普及するチャンス、電話が繋がってお話が出来ている機会というのは、千載一遇のチャンスです。
この瞬間に全てを賭けて、時を刻みましょう。