3-1.導入の仕方
電話トークにおいて、はじめに声を発する『導入シーン』。
互いに初めて耳にするその音声から、人の脳は一瞬で、過去の経験データより分析を開始し、相手の人となりや、在り方について判断をします。
その判断から瞬時に、結論の大枠を決め、
また、相手に対して取る態度を自身の幅の中から選択して表現します。
人にはさまざまな側面があります。
朗らかで温かい面を出そうか、はたまた冷淡な面や攻撃的な面を出してしまおうか、
どちらにもなれます。
どのような面を出すかによって、当然にトークの進展度合いや関係性も左右されますから、はじめの導入は、その後の運命の大半を決める重要な
『握手』としてのポイントなのです。
〜第1印象〜
人は第一印象がいつまでも脳裏に残り続ける『初頭効果』という影響を強く受ける生き物です。
最初に好感を持てば良い印象が、逆に嫌悪感を感じてしまったら悪い印象が、それぞれ継続していくのです。
対面では、最初の7秒間でその印象が決まるという話もあります。
あくまでも私の経験を元にしますと、電話においての第1印象は5秒を目安にして決まると考えています。
このたいへん短い尺の中で、どんなイメージを持って、どのように表現するのか記してまいります。
〜導入のイメージ〜
1日通して全通話共通で、元気いっぱいに『お世話になっておりますっ!○○株式会社の○○と申しますっ私どもは△△で□□で、、、』
と明るさとやる気を全面に出したスタイルの方がいます。
波長の合う一部の方には好感を持っていただけそうです。
ただ、人にはさまざまなタイプ・さまざまなシーン・さまざまな感情の状況があります。
それを無視して突き進んでしまうと、相手の方にとって不快なズレた違和感を与えてしまいます。一辺倒ではいけません。
相手の方に応じた、フィット感のある声色やキャラクターが必要になるのます。
電話において、先に声を発するのは、受信側つまり相手の方です。
その声を、よく耳を澄まして注意深く聴いてみてください。
落ち着いた誠実そうな声、元気で体育会系の勢いある声、事務的でドライな声。
そして状況も汲み取っていきます。
無音でゆっくり話せる雰囲気、明らかに車や電車の移動中の音、会議の声が聴こえてくる状況等々。
相手が急いでいる可能性があれば、こちらもそれに合わせて、スピードを上げますし、雰囲気を察して『後にしましょうか』とお伝えすることもあります。
はじめに得た相手の方の情報を瞬時に分析して、フィットした親しみとフィットした配慮の言葉選びと表現を打ち出すのです。
〜導入のブラッシュアップ〜
親しみのある挨拶、配慮を込めた一言を、心得として大切にしている『自然体』『心配り』の気持ちを全開にして、瞬時に発していくことを意識して、自身のトークに注目していきましょう。
日々きちんと、その導入がどのような反応を呼んだのか、関係性はどうなったのか、進展結果はあったのか、じっくり振り返って検証し、別パターンとしてどんな手法があったのかについても想像を巡らせて、勘を磨いていくという自己研鑽です。
この意識づけと振り返りの習慣が自身の勘を高め、瞬時の選択判断の精度を高めます。
大変短い尺に、多くの経験や表現力・判断力が問われる芸術性の高い領域ですから、飽きずに何度も練習して、ロールプレイングにおいても繰り返しフィードバックを送り合い、進化させていきましょう。