見出し画像

とある休日

2023年10月28日(土)

休日にしては珍しく早起きした日。
仕事の日でもないのに6時半に起きるということはかなりの苦行であったがアラームを止め、ムンと二段ベッドから起き上がり、カフェオレをグビりと飲んだ。
早起きした目的はただ一つ、職場の苦手な上司との縁切りを願って京都の安井金毘羅宮に行くためだ。


具体的な内容は伏せるが、THE・パワハラといった嫌がらせを度々受けておりもはや仕事どころではなかった。嫌がらせ手当をもらわなければ割に合わないレベルであった。
安井金毘羅宮は縁切り神社として度々話題に上がっており、『もうここに行くしかない』と金曜日、お弁当を食べているときに思いついたのだ。


身支度を済ませ、御朱印帳と読みかけの本を2冊、お気に入りのマスコットを鞄に詰め込んで家を出た。
淀屋橋駅でガチャガチャを少し見た後、独特な匂いのする京阪電車のホームに降り立つ。久しぶりの京阪の赤い特急に少しテンションが上がる。
私は大学の四年間、京阪特急を使って登校していた。一両目の一番前、左側の窓側の席がお気に入りだった。
車窓から流れていく景色を見て、あの家は何人家族かな~だとか、あの公園にある遊具面白そうだな~などということを考えているうちに祇園四条駅に到着した。
『特別な急行』略して特急。さすがの速さだ。


安井金毘羅宮はとても混んでいるとネットに書いていたためなるべく早く家を出たが、祇園四条駅に到着したのは10時過ぎだった。
駅を出て八坂神社に向かうまっすぐな道を進んでいく。朝の十時過ぎだというのに外国人観光客で道はごった返している。
いかにも観光客向けといった、団子やら漬物やらが売られており、私は今、京都にいるのだという実感がむくむくと湧いてきた。
この日は天気が良く、日の光がとても気持ちよかった。京都の空気と混ざり合った秋の空気はとてもいいものだ。
秋の空気を胸いっぱいに貯めながら歩くこと15分、安井金毘羅宮に到着した。

SNSではまがまがしい雰囲気、や軽い気持ちで行くべきではない、といったレビューが多くあったが境内はとても人が多くにぎわっていた。
こうやってみんな楽しそうにしているが内心は縁を切りたくて仕方のない人がいて、その人に日々悩まされているのかと考えると、
生きづらい世の中ですが頑張りましょうね!と全員と握手したい気持ちになった(もちろん縁結びを目的としてきている人もいるだろうが)。
手水を行い、本堂にお参りをし、お札に願い事を書いたあと、石をくぐるための列に並んだ。
この石を表から裏にくぐりぬけることで悪縁が切れ、裏から表にくぐり向けることで良縁に結ばれるそうだ。
悪縁を切ってくれるだけでなく良縁までむすんでくれるなんて、願ったりかなったりである。
列は一時間程度並ぶことを覚悟していたが、20分ほどでついに私の番になった。
並んでいる人たちに見られながら石をくぐるのは少し恥ずかしかったが、ウナギのようにぬるぬると石をくぐりぬけた。
そういえば、ヤフー知恵袋で『安井金毘羅宮の石は〇センチ〇キロの男性でもくぐりぬけることができますか?』と質問している人がいたなあ、ということを思い出した。
確かにこれ、男性はかなり潜り抜けるの難しいんじゃないのか、みんなの前で穴につっかえてしまったらかなり恥ずかしいよなあ。、そう思いながらくねくね、ぬるぬるしていた。
石くぐりを終えた後はおみくじを引き、お守りを買い、御朱印をいただいた。
参拝を終えた後はなんだか軽やかな気持ちになった。


参拝が終わったあとは喫茶店にでも入って一服してから帰ろうと思っていたが、せっかくだし何か景気の良いものを食べようじゃないかと思い立ち、
牛カツのお店に入った。なかなかの観光地価格であったが、美味しかったのでもうなんでもいい。
牛カツを平らげた後は、しばらく四条大橋から見える鴨川の眺めを楽しみ、阪急電車に乗って帰阪した。

参拝できたという安心感と前日の睡眠不足が合わさって、桂あたりで強烈な眠気に襲われた。
昼間にこうやって電車に揺られているのはいつぶりだろう。
車窓に差し込むぽかぽかした日差しに包まれながら、なんだかそのことがとんでもなく幸せなことに思えた。

#エッセイ #つぶやき #スキしてみて #日記  


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?