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Photo by
golchiki
礼服のアジャスターについて。
義父の葬儀で礼服を着た。いきなり当たり前の事を言っているが、この礼服というもの、近頃は滅多に着る機会がない。若い頃は同僚友人の結婚式あるいは親戚の長老の葬送などそれなりに活躍していたのだが、今日びは甥っ子姪っ子なんかも賑々しくお披露目なんて事は少なくなり(まして結婚するとは限らない)、ほぼ親の年代の葬儀ばかりになった。それも身内で倹しく済ます事が多い昨今は一年に一度の出番さえない。
急遽の出動を求められる礼服で心配になるのは「サイズが合うかどうか」。微増を続ける体重にホックはちゃんとかかってくれるのか?恐る恐るの試着をする。万が一の事態が生じたら急ぎ青山でもAOKIでもいいから飛び込まなくてはならない。
案の定ホックは届かない。両脇のアジャスターを一つまた一つと広げて行く。カチ、カチ、カチ・・・。「やばいかも知れない」と思ったその時、土俵際でホックは合体を遂げた。改めて思い起こすに、大動脈解離のあとリハビリに励んでいた時から体重は6㎏増えている。「心臓の負担を減らすためには、もっと体重を落として」と担当医に言われ続けてはや8年。それなりに節制しているつもりでも現実はなかなかキビしい。義父の他界でオノレの体重問題も改めて突きつけられたのだ。
それにしても、いついかなる時にも慌てないために、礼服にアジャスターは欠かせない飛び道具だ。油断の元とも言うけれど。
見出しのイラストは「ごるちき」さんの作品をお借りしました。ありがとうございます。