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本棚の中身・新書あれこれ
一日中雨なのだ。今PCの前にいるのだが、目の前には新書のコーナーがある。といっても別に本屋ではないのでせいぜい100冊余り。「ちょっと疑問」「ちょっと知りたい」時、新書はとても便利である。ハードカバーの厚い本に比べて安価でスペースもとらない。そんな脈絡のない(ようできっとある)ホンの20冊。
「一人で生きる」が当たり前になる社会(荒川和久、中野信子共著/ディスカバー携書)~未だに結婚をできる・できないという文脈でしか捉えられない人がいるのは困ったものだ。根本的にピントのずれた少子化対策とか。
自粛バカ(池田清彦著/宝島社新書)・ウイルス学者の責任(宮沢孝幸著/PHP新書)~この騒動で人間はほとほと進歩していない(ある部分は退化すらしている)とわかった。騒ぐな、考えろ。今に始まったことじゃない。
物語ウクライナの歴史(黒川祐次著/中公新書)/発行から20年後、再び注目を浴びた入門書的位置づけの本。おぼろげな記憶をもう一度おさらいする、知らなかったことを知る。
独立国家のつくりかた(坂口恭平著/講談社現代新書)~タイトル買い。生存戦略のようなものをこんな角度から考えてみてもいい。
一度死んでみますか?(島田雅彦、しりあがり寿共著/PHP新書)~副題は「漫談・メメントモリ」。生と死、そのまじめな茶化し方。
朝日ぎらい(橘玲著/朝日新書)~朝日新聞に代表される「リベラル」の嫌われ方。我が家は朝日新聞だったが、もはや嫌うほどの魅力もない。もちろん読売にもない。未だに右か左かでしか論じられない人は本当にウザい。
アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」(中川裕著/集英社新書)~原作の漫画を読まずに購入。それでも十分刺激的。日本は単一民族ではない。
東京バスの旅(中島るみ子、畑中三応子共著/文春新書)~バスを利用する環境に育っていないのでワクワクする。これも「東京の歩き方」。
そして、みんなバカになった(橋本治著/河出新書)~帯に「誰も大人になろうとしなくなったこの国は一体どうなるのか」面倒な事を考える大切さ。
災厄の絵画史(中野京子著/日経プレミアシリーズ)~天変地異やパンデミック、戦争を人々はどう絵画の中に描いてきたか。もちろん豊富な図版で。
愚か者、中国をゆく(星野博美著/光文社新書)~タイトルが買い。当たり前だが独裁の大国に暮らすのは、奔流の中で必死に暮らす人間の姿だ。
ヒトの壁(養老孟司著/新潮新書)~もう言うまでもない人なのだが、この人の言うことはなんか気になる。ひょっとしたらこんな老人になりたい?
格差が遺伝する!(三浦展著/宝島社新書)・新型格差社会(山田昌弘著/朝日新書)~前者は2007年、後者は2021年。格差についての論考はきっと尽きない。すべてが悪ではもちろんないが理不尽なものは減らしたい。
脳の闇(中野信子著/新潮新書)~近頃話題の人。闇とはいっても至って普通の脳のお話。自分の感情を検証してみるくらいは自覚的でありたい。
京都ぎらい(井上章一著/朝日新書)~嵯峨は京都と違うんやで。「洛外人」が語る京都の顔。似たような話はきっとあなたの住む土地にもある。
あの戦争になぜ負けたのか(半藤一利、保坂正康、加藤陽子他著/文春新書)~近代史を端折る教育ってのは、もう意図的としか思えない。
哲学で抵抗する(高桑和巳著/集英社新書)~全く哲学的な人間ではないのに、なぜか時々哲学という文字に惹かれる。
モテたい理由(赤坂真理著/講談社現代新書)~女性の目から見た世界、女性の目から見た男。オンナを取り巻く世界は、オトコも無縁ではないのだ。
公害・言語・消費社会・裁判・家族、アート、男と女・・・。気になるテーマはジャンルを問わず転がっている。新書はそんな横好き好奇心の寄せ場であります。つまみ食いの域は出なくとも、脊髄反射で物事を断じないようにする手助け位にはなっているんじゃないだろうか。
見出しのイラストは「大須絵里子」さんの作品をお借りしました。ありがとうございました。