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新緑の城址公園

毎年喝采とともに迎えられるトップスターの桜が去って公園はいつもの落ち着きを取り戻した。これから紅葉というアトラクションのお出ましまで、人出もほどほどの青葉の季節は、暇人がよしなしごとに耽るにはうってつけなのだ。園内のパトロールもホモサピエンスからネコに変わったらしい。

東屋の先には菖蒲田があり、6月の「菖蒲まつり」を待つ。

喘息もちだったので、子供の頃は決まって秋から冬に発作を起こしていた。反動で、春から初夏の匂いを嗅ぐと(ほんとうに空気の匂いが変わる)、決まってそわそわと心ここにあらずになる。登校拒否でも出社拒否でもないのに、このままどこかに行ってしまおうかという誘惑にかられるのだ。さすがに還暦をすぎてその囁きはかなり小さな声になったが、まったく消えしまったということはない。生まれ月が5月というのも関係しているのかどうかは知らない。

一角にある牡丹園は、今が見ごろ。

軽やかなアコギに乗せて歌われるサイモンとガーファンクルの「Leaves  That   Are  Green(木の葉は緑)は、歌詞さえ知らなければ、そんな気分にぴったりのメロディなのだが。なんせ「And the Leaves  That   Are  Green   turn to   brown」である。老境にさしかかっている身にはこたえるではないか。 


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