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新緑の城址公園
毎年喝采とともに迎えられるトップスターの桜が去って公園はいつもの落ち着きを取り戻した。これから紅葉というアトラクションのお出ましまで、人出もほどほどの青葉の季節は、暇人がよしなしごとに耽るにはうってつけなのだ。園内のパトロールもホモサピエンスからネコに変わったらしい。
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喘息もちだったので、子供の頃は決まって秋から冬に発作を起こしていた。反動で、春から初夏の匂いを嗅ぐと(ほんとうに空気の匂いが変わる)、決まってそわそわと心ここにあらずになる。登校拒否でも出社拒否でもないのに、このままどこかに行ってしまおうかという誘惑にかられるのだ。さすがに還暦をすぎてその囁きはかなり小さな声になったが、まったく消えしまったということはない。生まれ月が5月というのも関係しているのかどうかは知らない。
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軽やかなアコギに乗せて歌われるサイモンとガーファンクルの「Leaves That Are Green(木の葉は緑)は、歌詞さえ知らなければ、そんな気分にぴったりのメロディなのだが。なんせ「And the Leaves That Are Green turn to brown」である。老境にさしかかっている身にはこたえるではないか。