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お江戸まで、ちょっとお宝探しに~吉穂堂×現代美術篇
今回の旅には、重大なミッションが二つありました。
一つはもちろん、林家あんこ師匠の『北斎の娘』を堪能すること。
もう一つは、『吉穂堂』を再訪することでした。
『吉穂堂』は、吉穂みらいさんが神田神保町の共同書店PASSAGE で棚主として出されているお店です。
昨秋、はじめて『吉穂堂』を訪れました。
そこで憧れの吉穂みらいさんとお会いすることが叶い、ずっと気になっていたみらいさんのアルデバランシリーズの『ナユタ』をゲットしたのです。
この『ナユタ』が期待をはるかに超えて、すばらしかった。
なぜこれが商業出版されていないのかと、心の底から思ったほどです。文春文庫か角川文庫、新潮社あたりで出版して欲しい、と切に願っています。
アルデバランシリーズは近未来、銀河系のどこかにある地球とよく似た惑星アルデバランに暮らす4世代の壮大なサーガのようなシリーズです。人物相関図だけでも、かなり複雑で。人と人とは、こんなふうに、どこかで誰かとつながって次の世代へと続いていくのだということを実感させてくれます。
続きが読みたくてしかたなかった私は、6月に京都でみらいさんとお会いした折に、『春告鳥』と『郭公』を持ってきていただきました。
シリーズはなんと全部で18冊もあります。18冊、どんと大人買いすることも考えました。しかし、これは私の禁じ手です。「買う」という行為に満足して積読の高くそびえる山頂行きが、ほぼまちがいなくお定まりコースになるからです。どうしても読みたい本は、まず、図書館で借りる。意志薄弱、集中力欠如の私には「期限」というしばりが必要なんです。(情けなや~)
ふだんは図書館で借りて読み、手元に置いておきたい本だけを買うことにしています。ですから、みらいさんに2冊だけ持ってきていただいたのです。
『郭公』も、もうすぐ読み終える頃合いでの東京行き。
これは『吉穂堂』で続きをゲットするまたとない機会です。
当初、落語も吉穂堂も、一人で行くつもりをしていました。
ところが、京都でみらいさんにお会いした折に、ぽろっと、「10月に落語を聞きに東京に行きます、吉穂堂にも行くつもりです」ともらしていました。
(下心みえみえ、ですね)
すると、9月になってみらいさんから、一緒に『北斎の娘』を聴きに行きませんか、との願ったりかなったりのお誘いを受けたのです。
(その少し前、8月公演にMarmaladeさんからお誘いを受けていたのですが、どうしても10月の『北斎の娘』を聴きたいので、とお断りしていました。Marmaladeさん、せっかくお誘いいただいたのに、すみませんでした)
同じ頃に、『吉穂堂別館』にローローさんのエジプトシリーズが入荷したことも知りました。これは、欲しかった『エジプトの狂騒』も手に入れねば。
私のお宝計画がちゃくちゃくと積み上がっていきました。
さて、10月19日。最高気温30度、最低気温20度の予報。
私の旅の服装計画(たいしたことない)は無惨にも瓦解。寒暖差10度。もはや何を着て行けばよいのか、頭がまったく回らないまま新幹線に飛び乗りました。
11時に「銀の鈴」でみらいさんと待ち合わせを。
銀の鈴といえば、大阪でいう梅田のビッグマン、難波のロケット広場(今はもう無い)ぐらいの定番待ち合わせ場所。わからないわけはない、と高をくくっていたのですが、広大な東京駅の人混みで現在地がどこかすら把握できず、若い警官に「大丈夫ですか?」と情けない心配をされました。
みらいさんのお姿を発見したときの安堵感。おのぼりさん丸出しでした。
お会いした瞬間からおしゃべりがとまらず、神保町へまっしぐら。
Passageが12時開店のため、神保町界隈で有名な「さぼうる」でランチをいただきました。昭和の薫りぷんぷんの懐かしい純喫茶。店内には、もはや天然記念物並みの赤い公衆電話までありました!
というのを、写真付きでご報告できれば良かったのですが。我が家は、私を除く男3名の趣味がカメラで、いつも誰かが撮っている。よって、私には写真を撮るという習慣がなく、すっかり撮り忘れました。
さて、腹ごしらえもできたことですし。
いざ、鎌倉へ。ではなく、いざ、『吉穂堂』へ。
まずは、初めましての『吉穂堂別館』に。PASSAGE SOLIDAにあります。といっても、私はみらいさんについて行ったので、どこにあるのか地理的な位置関係をまったく把握できていません。SOLIDAは重厚でアンティークな雰囲気の本店に比べ、白く明るい店内が印象的でした。
お目当てのローローさんの著書『エジプトの狂騒』を購うと、その足でPASSAGEbisにある『吉穂堂』へ。『郭公』の続きは『玄鳥』と『烏鵲』だとお伺いし、そそくさとお宝を手に入れました!
![](https://assets.st-note.com/img/1729754417-HqPItciE42nr7ZFpSX0ak3KA.png?width=1200)
左からローローさんの『エジプトの狂騒』と
アルデバランシリーズの『玄鳥』『烏鵲』です。ムフフ。
一の目的をかなえ、『吉穂堂』のあるPASSAGEbisのカフェで延々とみらいさんとおしゃべりざんまいの贅沢なひとときを過ごしました。
あっという間に午後3時すぎ。そろそろ行きましょうか、と神保町を後に。
途中ホテルに荷物を預け、木場公園の北端にある東京都現代美術館へ。
半袖でも暑いくらいの陽気でした。
東京都現代美術館(MOT)で、高橋龍太郎コレクションという展覧会が催されていると知ったのは、旅に出る数日前のことでした。寡聞にして高橋龍太郎さんのことは存じあげなかったのですが、コレクションリストには草間彌生、奈良美智、村上隆などの錚々たる名前が並んでいました。美術館の場所もホテルと、落語公演のある江戸深川資料館との間。公演までの時間つぶしには、ちょうど良いのではないかと。それくらいの軽い気持ちでした。
実はあまり期待していなかったんです。だって企業でも、財団法人でもない精神科医が個人で蒐集したコレクションです。草間彌生をはじめとする人気作家の作品があるといっても、一人一作品ぐらいだろうと思っていました。
それが、なんと!
草間彌生さんの作品がもっとも充実していましたが、おそらく10数点はあったように思います。(すみません、コレクションのすごさに圧倒されて作品点数を数える余裕もありませんでした!)有名なかぼちゃや水玉の作品もありましたが、見たこともない作品も多く、前衛を走り抜けられた女史だけあって、縦横無尽な発想のベクトルの広がりに昂奮が抑えられませんでした。奈良美智氏の作品も、あの不機嫌な子どもの作品も含めて5点以上はあったように記憶しています。
他にも、私が名前を知らない現代アートの作家さんの作品が、いくつもの展示室をめぐって、これでもか! というほど展示されていました。ワンフロアでは収まりきらず、1階と地下2階の2フロアにまたがる展示です。巨大な作品もたくさんありました。
現代アートって、おもしろいですよね。
世界の不条理に抗するエネルギーと饒舌なメッセージ性に、脳がびんびん刺激を受ける感覚。久しぶりでした。若い頃は、よくインスタレーション作品なども観に行っていましたが、いつのまにか足が遠のいていました。
それにしても、東京がうらやましい。あちこちに美術館や博物館があるなんて。ずいぶん前に上京した折に、赤坂にある21_21design sightを訪ねたときも、これを気軽にいつでも観ることができるのか、と首都高の底を見上げながら妬ましく思ったのを思い出しました。
高橋龍太郎コレクションは、最低2日はかけてゆっくりじっくり堪能したくなる展示でした。11月10日まで開催されています。観覧料2100円の倍以上の値打ちがありました。東京にお住まいで現代アートに興味のある方は、ぜひいらしてみてください。私もかなうならば、もう一度行きたいくらいです。
と、本日はここまで。
創作落語『北斎の娘』のお話は、明日に持ち越します。
みらいさんが、わかりやすく記事にしてくださっています。
こちらの方が、ずっと参考になります。
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