
三浦しをん「のっけから失礼します」は電車で読むな
三浦しをん著「のっけから失礼します」を読みました。
この本は、文庫フェアの「一冊買うとその場で一つプレゼント!」をもらおうと思って買ったものです。
くれるものは何でももらおうというこの魂胆。
「これがいいな」じゃなくて「これでもいいか」で選びました。
・三浦しをんのエッセイ
三浦しをんさんは、「舟を編む」と「仏果を得ず」が良かったのです。この2冊は好きです。
でも、エッセイは、いま家にある「しをんのしおり」がもうひとつノルことができず、途中下車しているのです。だから、あまり期待しないで買いました。ここのところ、ずっしりくる本が続いたので、「軽~い」本を読みたかったのもあります。
でも、読み始めたら、いっぺんに「しをんワールド」に引き込まれてしまいました。軽い軽い。そのばかばかしさ・・・いや、失礼。しをんさんの日常があまりに面白く、笑ってしまいました。
暇さえあれば推しにはまるオタクぶり、いつもジャージを着ていそうな(着ていないと思いますが)肩の力の抜け具合、自分の体型も歯痛もネタにする。そして時々登場する友達やご両親も楽しそうで面白い。
ちょっとくどいと思われるところもありますが、そこは筆者も断っています。めんごめんご、と。(これがわかるのはどの年代だ)
・鼻で笑ってしまう
ここのところ、電車の中ではスマホじゃなく、本を読むことにしています。でも危ない。この本を読んでいると、つい笑ってしまうのです。この前もそうでした。
笑いをこらえるというより、つい、「ふふん」と鼻で笑う・・・そっちじゃありません。
鼻から笑いがこぼれるのです。
同じ車両に乗っていた人は気がついていないかもわかりません。でも、本を読んでいる私に注目していたら、私が笑っていると気がつくはずです。
そして「このおばちゃん、何を読んでいるんだろう」と気になるかもわかりません。
私は最近本を買ってもカバーをかけてもらいません。だから、読んでいるときはわからないけど、本を閉じてバッグに入れるとき、本の題名が見えるかもわかりません。
そうです、三浦しをんさん、私は宣伝に貢献していると思います。
お礼は要りません。
・改めて作家三浦しをんとは
読んでいると、私にもしをんさんのようなおかしみのあるエッセイが書けるんじゃないかと錯覚を起こしてしまいました。それで、書き始めるのですが・・・難しい。あれは錯覚だった。修行が足りぬ。
いま、改めてWikipediaで調べてみると、なんと三浦しをんさんは、いや、三浦しをん様、いや、三浦しをん先生、三浦しをん大先生とお呼びしなければならない、経歴の立派な作家先生とわかりました。
そうですよねえ。これだけの実力がおありで、だからあんなに軽妙なエッセイが書けるのですね。恐れ入りました。(参ったかという声が聞こえました)
それと、やはり三浦しをん先生は・・・あまりいうと逆におちょくっているように聞こえるのでやめて、しをんさんにしますが、インプットが半端ない。本も映画もDVDも。やはりそこですよね。
単に好きなものをむさぼっているようにも思えますが、そこはエッセイの力だと思います。大変なことや、大事なことを面白く書くという。
・目の付け所が違う
それと、やはり作家は違うと思ったところがありました。映画「シン・ゴジラ」とかテレビ番組「大アマゾン」とかを見ての感想のところです。
「つまり、ゴジラが出没したとしても、もし地球上に人間がいなかったら、(中略)ゴジラは気がすむまで暴れたのち、海へ帰っていったかもしれないのである」
「善悪や敵味方という概念を生みだすのは、ひとの心以外にない、ということだ」(P151.152より。すみません、引用しました)
その他にも、考え方や視点の持ち方がさすがだなと思いました。だからこそ、面白いだけではなく、ものの見方を教えてくれるのだと感心しました。おもろうて、やがて悲しき・・・いや、悲しくはありません。笑えます、鼻で。
・電車で読みましょう
さて、タイトルです。これは逆説です。
まだこの本を読んでいない方。本屋さんで買いましょう。まだ今なら文庫フェアで「よまにゃ画面クリーナー」が付いてきます。(本屋さんにも貢献する私)
そして、電車で読みましょう。電車の中は読書の時間です。(電子図書読んでいるかもしれないけど)そして、大いに笑いましょう。鼻で笑うのではなく。思いっきり。
そして、本のタイトルを見せる。もしくは「ああ、三浦しをんはおもしろいなあ」と聞こえよがしに言う。ちょっと変な人と思われるかもしれないけど。(私はしませんが)
世の中に三浦しをんの良さをわかってもらいましょう。
三浦しをん様、どうでしょう。こんなもので。3人目の師匠と呼ばせていただいてもよろしいでしょうか。(気が多い)