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自分を励まし向上をうながすには
正直にいえば、『小林秀雄全作品』全32巻に挑むことに、すこしたじろいでいた。怖じ気づいていた。小林秀雄が生涯にわたって書いてきた難解な文章をすべて読み通すことができるのだろうか。どのくらい時間がかかるだろうか。まだ未読のものもある池田晶子の本はどうなるのだろうか。
その気圧される心持ちをはねのけるために考えたのが、読書記録をとることだ。記録をつけるにあたって参考にしたいのが、水本アキラ『武田百合子「富士日記」の4426日』と、柿内正午『プルーストを読む生活』だ。
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水本アキラは、武田百合子が13年かけて書いた『富士日記』を、同じ時間をかけてでも、丁寧に、寄り添うように読んでいこうと決意し、ライフワークとして同著を書き続けている。実際には、約6年かかって、『富士日記』の2年2か月分にあたる文章になっている。その決意と地道な実践に自然とこうべが垂れる。
柿内正午は、勢いで入手したプルースト『失われた時を求めて』ちくま文庫版全10巻に向き合うにあたり、毎日読み、毎日書くというルールを決めた。プルースト以外も読むし、生活の事情で書き溜めも認める。ユニークで無理のないルールだ。
それを参考にして、『小林秀雄全作品』を通読するルールを考えてみた。
毎日、小林秀雄を読む。
全集順に読んでいくが、必要に応じて、順番を変えてもよい。
小林秀雄以外も読んでよい。
毎日書く。小林秀雄以外に読んだときも、そのことを書く。
読んで思いついたことは、書いてもいいし、書かなくてもいい。連想したり、飛躍した発想は、なるべく書く。
タイトルは「YYMMDD『書名(上下)』p読了ページ」とする。
このくらいにしよう。
このような読書記録があれば、自分が着実に歩を進めている実感が味わえる。その足取りが、次への励ましとなる。
さあ、ここまでくれば、あとは『小林秀雄全作品』第1巻『様々なる意匠』に挑むだけだ。
それなのに、わたしは「私の人生観」をこじらせている。
(つづく)
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