いのちや意識の「あわい」にあるものは——河合隼雄『中空構造日本の深層』、フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』など
拝啓
暦のうえではすでに秋。台風が通り過ぎたあとを「野分のまたの日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」としみじみ味わう清少納言には共感できません。でも、野分という表現は言い得て妙だと、9月が近づくたびに感じます。
こちらも、お返事が遅くなりました。毎年8月は仕事の都合で自分の精神活動がどうしても後まわしになってしまうのです。
それで、自分を取り戻すためにも、あなたとの往復書簡をすべて読み返してみました。すると多くの作品や批評をつうじて「魂とはなにか?」という問いにたゆたっ