同じ書物を読む人は遠くにいることを知る——岡崎京子「万事快調」、向田邦子「胡桃の部屋」
拝啓
向暑のころとは思えない朝夕の気温差と、1日ごとの寒暖差です。それでも我が家の庭ではコンペイトウという淡い青の紫陽花が咲き始めました。梅雨が近づいていますね。
あなたと「同じ書物を読む人は遠くにいる」という言葉で通じ合えたことで、小躍りしたい気分になりました。それが、さらなる胸の弾みにつながったのは、あなたが岡崎京子『pink』を紹介していたことでした。岡崎京子の作品では、『リバーズ・エッジ』も『ヘルタースケルター』もいいのですが、迷う気持ちを振りはらい、敢えて最も好