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福山はしご酒 like a local in Fukuyama

旅に出ると、そのまちだけの時間の流れを感じる。その流れに一緒に乗りたくて、ローカルたちの後を着いていく。

慣れた手付きで扉を開けて、定位置らしき席に座って、メニューも開かず「いつものお願い」なんて言う姿が、やけにかっこよく見える。ああ、いつか言ってみたい。

福山には、古くから土地に根付いた名高い店もあれば、気軽に入れる立ち飲みスタンドもあって、ついついはしご酒、となってしまう。

「とはいえ、常連ばかりの店って旅行者は入りにくいでしょ?」と戸惑う人もいるかもしれないけれど、そんなことはない。ローカルの人たちが集まる店は、よそゆきでないまちの日常を覗ける格好の場所。気負わず飛び込んで、肩を並べて飲むだけ。迷っているくらいなら、さっさと暖簾をくぐって、ビールでも。

①自由軒(元町)

元町にある「自由軒」は、洋食とおでんの店だ。先代はもともと洋食のコックで、1951(昭和26)年にこの店を創業したという。

引き戸を開けると、まだ早い夕方だというのにカウンター席はほぼ満席、なんてことはよくある。そんな時は、元気な女将さんが出てきて、「もうちょっとで空くから待ってて」と店内を整理してくれる。

ぐるりと囲む大きなU字カウンターには、若者からご高齢まで幅広い年代の人たちが座っている。まずはビールとおでんを注文。店員さんが奥の厨房に向かって注文を叫ぶと、女将がさらに大きな声で復唱するのが決まりだ。

おでんはお皿に入れて、汁を切って味噌ダレをかける。甘辛いタレが良く合う。

店内のテレビではカープ戦が流れている。みんな一緒にテレビ見上げながら、一喜一憂しているのが面白い。たわいもない会話を聞いていると、ローカルの時間に紛れ込めたようで嬉しくなる。

常連さんが必ず頼むというオムライスに後ろ髪を引かれるけれど、はしご酒するなら、少しお腹に余裕を残して店を出たい(胃袋の大きな方はどーぞ心おきなく)。

自由軒:広島県福山市元町6−3
11:30-22:00 火曜定休

②居酒屋おの(延広町)

「日本酒が好きなの? そしたら『おの』に行ってみて」とローカルのみなさんから強く勧められたのが、延広町にある「居酒屋おの」。

「自分たちが飲みたいものを揃えているんです」。なかなか見ない豊富な品揃えに感動していると、カウンター越しの店主が言う。瀬戸内の小魚の唐揚げやがす天、チィチィいかなど、福山の名物を次々と肴にいただきながら日本酒を飲み比べられるうれしいお店。

店主が語る一つひとつの銘柄説明に耳を傾けながらちびりちびりの時間が幸せ。

居酒屋おの:広島県福山市延広町2-18
17:00-25:00 日曜定休

③稲田屋(船町)

「稲田屋」は、昼は食堂、夜は酒場としてローカルに愛されている店。年季の入った木のテーブルと床几が並ぶ店内は、昭和の空気をそのまま閉じ込めたよう。

まずは、名物の関東煮(かんとだき)を一本。ホルモンを醤油とザラメで甘辛く炊いたこの串、ビールとの相性抜群。大腸が「白」、肺が「黒」と呼ばれていて、地元の人が鍋を持って買いにくることもあるのだそう。

別で注文した刻み葱と一味をかけて食べるのがローカル流と聞けば、もちろん真似してみる。

稲田屋:広島県福山市船町1−18
11:00-15:00、16:00-20:00 木曜定休

④串揚げさっくる(伏見町)

そして最後は、福山駅前、伏見町の入り口にある「串揚げさっくる」。気軽な感じで入りやすいスタンドだ。

壁一面には昭和11年の福山駅周辺の地図が描かれていて、それをなぞってみたり、運が良ければローカルの人が話すまちの記憶を聞きながら飲むこともできる。自家製ソースがかかった熱々の串を数本つまんで外に出るころには、まちの表情が違って映るかもしれない。

串揚げさっくる:広島県福山市伏見町1−1
11:30-24:00 年中無休

ローカルの後を追いかけて良い店を渡り歩く楽しみ。福山に降り立ったら何度でも、めくるめく“はしご酒”の旅へ。

瀬戸内への旅の玄関口
福山駅前のまちやど「AREA INN FUSHIMICHO FUKUYAMA CASTLE SIDE」
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住所:伏見町4-33 FUJIMOTO BLDG. 1F(RECEPTION)

AREA INN FUSHIMICHOは、まち全体をひとつの「宿」と見立てた「まちやど」です。泊まる、食べる、くつろぐ、学ぶ、遊ぶ、さまざまな要素がまちのなかに散りばめられています。チェックインを済ませたら、伏見町、そして福山のまちから瀬戸内への旅へ。

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