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「ailead」で実現する“三方よし”のセールスイネーブルメント。徹底的にユーザーと向き合うバベルの挑戦

「世界中の人々の役に立つ事業を創り続ける」というミッションを掲げて2017年8月に設立されたバベル。AIを活用して営業現場の業務効率化と営業人材の育成をサポートする「ailead(エーアイリード)」を提供しています。
今回は、メルカリの子会社「ソウゾウ」での事業立ち上げやグロースの経験を持つ株式会社バベル代表の杉山大幹さんに、事業の変遷やサービスの展望についてインタビューしました。

<プロフィール>
株式会社バベル 代表取締役
杉山 大幹(Tamiki Sugiyama)
大学在学中の2013年12月より、EastVenturesのアソシエイトとして勤務し、リサーチや投資先の支援を経験。その後メルカリ子会社のソウゾウにてプロダクト開発に携わる。2017年8月に株式会社バベルを創業し現在に至る。

現場にフォーカスしたプロダクト作りを追求

──はじめに、どのようなサービスを展開しているのか教えてください。

杉山:バベルは、「世界中の人々の役に立つ事業を創り続ける」というミッションのもと、AI(人工知能)及びML(機械学習)を活用し、仕事の生産性を飛躍的に向上させるグローバル事業を創ることを目指しています。現在は、電話やWEB会議などを通じて取得したあらゆる顧客とのコミュニケーションデータをAIが自動で取得・解析・可視化することで、営業組織の業務効率化と「売れる」営業人材の育成を可能にする商談解析クラウド「ailead(エーアイリード)」を提供しています。

「ailead」はこれまで手作業で行っていた商談の記録・共有作業を自動化し、顧客と向き合う時間を最大化します。様々な営業組織課題を解決し、蓄積した商談データを人材育成に活かすことができるのです。
おかげさまで、「ITreview Grid Award」のセールスイネーブルメント領域において2年連続で顧客満足度No.1をいただき、ICCという国内最大級のカンファレンスのピッチ大会においても2位を獲得するなど、多方面から評価を得てきている状況です。

画像)「ITreview Grid Award」のセールスイネーブルメントツール評価比較表。約12.5万件のレビューをもとに、顧客満足度と認知度の双方が優れた製品が「Leader」として表彰される

──どのようにプロダクト開発を行っているか教えてください

杉山:事業の目指す方向性やビジョンに応じてトップダウンで意思決定をすることもあれば、お客さまからの具体的な要望をもとにボトムアップで開発を進めることもあります。また、VoC(Voice of Customer)やNPSを自動で収集する仕組みがあり、日々大量に蓄積されたデータをプロダクトの改善や機能開発に活かしています。

また、「デュアルトラックアジャイル」という開発手法を採用し、何を作るべきかを特定するプロセスと、実際の開発を行うプロセスを並行して進めています。VoCをそのまま実装するのではなく、新しいアイディアとしてしっかりと検証した上で実装のプロセスに入るため、お客さまのニーズに合ったプロダクトを迅速に開発し続けることが可能になるのです。実際、1週間に1回のペースでアップデートを繰り返しています。

これにより、エンジニアやデザイナーが主体的にアイデアを形にできる、エキサイティングな環境のある開発チームになりつつあります。

──面白い開発手法を取っているのですね。そうやって開発された「ailead」は、他のSaaSツールとどこが異なるのでしょうか?

杉山:従来のSaaSツールとは異なるアプローチを取り、少ない現場負担で必要なデータが自動収集されるプロダクト設計をしていることです。

営業DXにおける大きな課題は、営業マネージャーや現場メンバーへの依存度の高さにあります。SFAやCRMといった営業向けSaaSツールの多くは、現場が入力したデータをもとに主要KPIを可視化することで経営層に役立つ情報を提供します。しかし、実際に作業を行う現場の営業マネージャーやメンバーには利点が明確ではなく、データ入力が単なる作業として負担に感じてしまうことが少なくありません。
この意識の乖離がDX推進の障壁となっているため、経営層、営業マネージャー、現場メンバーのすべてに役立つサービスが求められています。私たちはこれらに応える「三方よし」のプロダクトを目指しているのです。

例えば、営業メンバーは間接業務(データ入力や議事録の作成など)を大幅に削減し、営業活動に時間を充てることが可能になります。営業マネージャーは商談に毎回同席することなく、マネジメント業務を効率化できるため、チームの成果を最大化できます。さらに、商談から得られる知見が蓄積され、成績向上にも寄与します。経営層にとってはこれまで不透明だった営業プロセスがクリアになり、データに基づく意思決定を実現することができるようになります。

コロナ禍で事業のピボットを決断

──起業当初は別の事業を展開されていたのですよね。現在の事業にピボットした経緯を教えてください。

杉山:創業当初はグローバル展開を目指し、海外向けのコマースやマーケティングのサポート業務をAIで自動化する事業を模索してました。一定の成果がありましたが、新型コロナウイルスの影響で市場が急速に縮小し、顧客として想定していたインバウンド需要のある大手小売店や化粧品メーカーが大きな打撃を受けたのです。

そこで、リモートワーク等に働き方が変化したことによるセールスマネジメントの課題を拾い上げ、自社のアセットを活かすことを踏まえながら半年かけて方向転換を図りました。

その過程でさまざまな方へのヒアリングや情報収集を行いましたが、営業領域の有識者からは「マーケットのニーズがない」と言われてしまったのです。しかし、ヒアリング情報だけで判断せず、実際にプロダクトを試してもらうために2021年7月にβ版をリリースしました。
PR TIMES、note、SNSに情報を掲載しただけなのですが、30〜40件ほどの前向きな問い合わせをいただき、パイロットユーザーも何社か現れました。コンセプトが受け入れられるかどうかは、実際にサービスを使うお客さま次第であることを改めて感じた出来事でもありましたね。

DEEPCOREとは、ピボット前の事業展開の時からAI活用について相談しており、「一緒に取り組んでいこう」と言葉をいただいたことが、現在の成功につながっています。

担当キャピタリストの三宅さんは、ファウンダーへのリスペクトが強く、自身も事業経験が豊富なため、共感力が非常に高いと感じています。彼のアドバイスは、投資家としての視点に加え、事業家やマネージャーとしての視点もあり、親しみやすいコミュニケーションで些細な相談もしやすいです。

──実際のユーザーに向き合う姿勢が重要だったのですね。

杉山:はい。お客さまの声と実際のデータを基に、継続的に改善してきたことは非常に重要だったと思います。新規事業がうまくいかない最大の理由は、ユーザーが求めるプロダクトを作れず、利用されないことです。販売できたとしても、1週間後にはほとんど使われないケースもよくあるでしょう。

そのため、ユーザーが継続して利用しているかを確認し、アクティブ率やリテンション率をどのように向上させるかを考える必要がありますが、データ分析基盤が整っていても、活用している企業はまだ少ないのが現状です。
新規事業の際にあらゆるデータを多角的に分析し、データドリブンでチューニングを行っていたメルカリ(ソウゾウ)での経験が、現在の事業にも大いに活きていると思います。

「コツコツ・実直」に。課題に寄り添い、高付加価値サービスを提供

──今後はどのようなことに注力していきますか?

杉山:最先端のAI技術をプロダクトに実装し、営業プロセスのオートメーション化を推進していきます。すでに「ailead」は、スタートアップやメガベンチャーだけでなく、数百社におよぶエンタープライズ企業にもご利用いただいています。

今後はプロダクトチームをさらに拡大し、高付加価値なプロダクトをより多くのお客さまに提供できるようにしていきたいです。

あらゆる企業がデータを活用して意思決定を行い、その結果、より効率的かつ効果的に顧客との関係を築いていけるよう全力でサポートしていきたいと思っています。

──最後に、杉山さんが経営者として大切にしていることを教えてください。

杉山:「コツコツ、実直にやること」を大切にしています。変化が激しい業界なので学び続けていく姿勢も大切です。会社のバリューとしても、この点を重視しており、地に足を着けて継続的に努力することが重要だと考えています。

信頼と尊重、そしてgiveの精神を持って仕事をしていきたいですし、自社が生産性を上げるツールを提供している以上、私たち自身も生産性高く、効率的に働ける組織を目指していきたいです。

──ありがとうございました!

■会社概要
会社名:株式会社バベル
設立:2017年8月
コーポレートサイト:https://babel.jp/


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