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とっても短い小説

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微かに聞こえる確かな“音”

微かに聞こえる確かな“音”

「カチャ」

昨日、僕のこころの中で音がしたんだ。
壊れたロボットの一部が少しだけ動いたような・・・
電車のおもちゃ用の線路の分岐が切り替わるような、
そうだ、何かが切り替わる音だ。

そして今日は「ほっほう」と音がする。
ふくろうが耳元で何か重要なことでも伝えるかのように。

これはいったい何なんだろう?

音はいつも、とても小さい。
だから僕は全身を集中させなくちゃならないし
頭をからっぽにし

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息吹く

息吹く

毒と薬、両方をもたらすもの

湖から沸き立つ生命、

溢れ出るもの

 

それらが輪郭を与える

 

太陽の光を受けた海へ

太ったてんとう虫が飛び立つ

ひとつではない時の流れ

ひとつではない時の流れ

目を閉じて呼吸を整える。
いつものとおり、
私は私の心地よい場所へ行く。

そこは

いつも
快適な空間であり続け、
どんなときでも
私を待っていてくれる場所だ。

今は夜空が美しい。

窓いっぱいに広がる夜空を感じながら
心地よいソファに身を沈め

やはり目を閉じて呼吸を整える。

ここ、にいながら
ここではない時間と空間へ繋がるほんの小さな穴に集中する。

私はいつの間にか小さな赤い靴を手にし

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