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詩『insomnia』

抱き枕を濡らす涎を拭うとき
目醒時計が深夜を報せるとき
積み重なる面が織りなす自己
睡眠導入剤でほどける結合。

貴方は小指の切り傷も気にする性格
でも四六時中 囁く声に気づかない
過剰服用にはご注意をとの取扱説明書
多角性を喪失したら発情期の始まり。

眠れぬ夜を知る 踊り狂う街を眺む
苦い砂を吐いて棄てても後味が夢を啄む
眠れぬ夜を観る 遊び心を忘れて斃れる
唇を染める青を持て余す毎日を詩う。

なんて鮮烈な感覚だ 凍てつく雨を浴びた常識は蒸発した
どうして私たちは頽廃を愛する生き物に産まれてしまったんだろう。

眠れぬ夜を照らす反時計回りの視線の中
月面が照射した銀色の道を綱渡りしていこう
寝言は寝て言うものだけど白昼夢が私を騒がす
眠れぬ夜に吼えるばけものみたいな。

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