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初めての感情。感じる純情。

1人映画をはじめて3作品目。
なんともまぁ表現しにくい作品に出合いましたが、この作品が逆に自分のアウトプットの能力や、情報を整理する力を高めてくれるのではないかと感じています。

いつも登場する友人をAとすると、Aの幼馴染の友人Bから勧められたこの映画。
Aが勤める会社の福利厚生を利用して¥1,300で映画館へ足を運びました。
隣のおじさまが扇子を仰ぎ続けていることを気にしながら始まった映画でしたが、途中から私の意識はそんなおじさまを置いてけぼりにし、無事映画へ没頭しました。

吃音のあるアイスホッケーが苦手な少年。
選手の夢を諦め、恋人の地元でスケートを教える男。
コーチのことが気になる、ませたスケート少女。
田舎街のスケートリンクで、
3つの心がひとつになって、ほどけてゆくー。
雪が降り始めてから、雪がとけるまでの、
淡くて切ない小さな恋たちの物語。

イントロダクション | 映画「ぼくのお日さま」公式サイト

なんというか。。

何と表現するか難しい内容でした。
感想はたくさんあり、簡単にでも難しくも表現できる内容。
簡単に表現するにはもったいなく、詳細を話すにはあまりにも複雑。。。
たった3作品しか書いていませんが、ダントツで苦労しそうです。

簡単に言ってしまうと
「思ってたのと違う。」「主人公だれ?」「そこでおわんの?」
という感じではありますが、こんな言葉で表現していい作品ではありません。
【全員が主人公】【すべてが綺麗】【すべてが正解】
敢えて簡単に表現するなら私はこう表現します。

言い出すと長くなってしまいますが、
誰もが吃音を持った小学6年生の少年タクヤが主人公だと思うようなストーリー。
彼が野球をしているシーンから始まり、冬になり積雪により野球ができない間にアイスホッケーをする。
野球ではボールに集中しておらず、アイスホッケーでは実力不足。
そんな中アイスホッケーの練習後に見かける綺麗な演技を披露する中学1年生のさくら。
華麗にスピンするさくらに見惚れ、自身も練習後にスピンの練習を試みるタクヤ。
さくらに見惚れたのか、スピンに見惚れたのか。
それは正直どちらでもいい。見惚れたことに素直に行動するタクヤ。
そんなタクヤを見かけて、スケートの指導を始めるさくらのコーチである元フィギュアスケーターの荒川。
タクヤを指導する荒川を見て少し嫉妬するさくら。
ある程度滑れるようになり、少しのジャンプができるようになったタクヤと荒川に指導を乞うさくらに対し、荒川はダブルスでのアイスダンスを提案する。
スケートの練習ができることが嬉しいのかさくらと滑れることが嬉しいのか快く受け入れるタクヤと、少しの不満を抱きながら受け入れるさくらに対し、少し自分のエゴを押し付けているような立ち振る舞いをする荒川。
3人は徐々に1つになり、試験に向けて時間や思いを共有するようになる。
そんな中、さくらは男性と買い物をしている荒川を目撃する。
荒川の車内で荒川は男性とじゃれあっている。
実はその男性は荒川の恋人である。
なにかを察したさくらは、荒川にタクヤが好きだから指導しているのかと問い詰める。
荒川は、しどろもどろになりながら「何を言っているんだ?」と。
さくらは「気持ち悪い」と一言。
その後、さくらが2人の前に現れることはなかったんです。

前述した【すべてが綺麗】は、全員の想いに対する行動に対する賞賛です。
スケートや3人の時間を心から楽しめるタクヤの心。
荒川に指導してもらいたい、スケートがうまくなりたいというさくらの心。
選手を諦めたが指導者としてスケートに関わりたい荒川の心。
この3つの心に対しての全員の行動が【すべてが綺麗】
吃音であることで上手く気持ちを表現できていなかったタクヤが
自らやりたいことをみつけて没頭する心も
同性愛者であることを批判してしまう思春期なさくらの心も
同性愛という人格に素直に男性と交際する荒川の心も
【すべてが綺麗】で【すべてが正解】にみえました。

ここまでの記事で皆様は誰が主人公に見えているでしょう。
タクヤが主人公に見えている方は少ないのではないでしょうか。
タクヤ自身のストーリーは正直ほとんど描かれていないのです。
それでも私はタクヤが主人公だと思っています。
ラストシーンで、帰宅途中のタクヤと街を出ていく途中の荒川がキャッチボールをするシーンがあります。
おおよそタクヤには荒川が街を出ることが想像できていたと思います。
ですが「また戻ってくるの?」と聞くシーンがあります。
私が当事者であれば一番聞きにくいことだと思いますが、しっかり聞いています。
また、タクヤの帰宅途中に遠くから近づいてくるさくらを発見するシーンがあります。
タクヤは気まずそうに一度下を向き足を止めますが、何か決意したように顔をあげ、正面からさくらと顔を合わせたシーンでこの映画はおわります。

私の中で、一番成長する人物が主人公。
その過程を映すものが作品だ。という先入観と思考があったのだと気づきました。
この作品の中で最も成長しているのはタクヤだと感じたことで私はタクヤが主人公だと感じています。
観る方にとってはさくらや荒川だと感じる方もいらっしゃるかと思います。
なにはともあれ
【全員が主人公】【すべてが綺麗】【すべてが正解】
ですので、観た方とお話してみたいものです。
カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門への出品に納得です。

簡単に感想を述べていいものではないと感じ
観てから書くまで時間がかかりましたのでうろ覚えの部分もありますが
私は改めて観たいと思える作品でした。

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