新本格ミステリーの火付け役!『占星術殺人事件』を恥ずかしながら初めて読んだ感想!
はじめに
占星術殺人事件とは
占星術殺人事件とは、小説家・島田荘司のデビュー作であり、また彼の代表作のひとつである。御手洗潔シリーズの第1作。 (ニコニコ大百科参照)
占星術殺人事件は新本格ミステリーの火付け役とされ、実際に本作の影響は国内外を問わず計り知れない。
新本格ミステリーの始まりとしても、島田荘司という作家の始まりとしても、御手洗潔というシリーズの始まりとしても、とにかく一度は読むべき作品らしい。
読むきっかけ
恥ずかしながら僕はミステリー好きを自称していながら、この稀代の名作に触れてこなかった。
最近、読書欲が爆発しているのに託つけて、勉強する気持ち半分読み始めてみた。
実際に読んでの所感
ネタバレ無し感想
おもしれー!
時代の流れによる劣化を全く感じさせない面白さ。
トリック、キャラクター、ストーリー、どれもが魅力的なエンタメとして非常に満足度が高い作品だった。
3つの一連の事件を扱っているから、内容も密度もボリューミー(それに伴って文量も)で、普段全く本読まない人だったらしんどいかも。
最初の2,30ページの狂人が書いた手記のパートが非常に読みにくいけど、そこさえ耐え抜いてもらえれば後の部分は全然読みやすい。
40年以上前の作品ということから忌避している人がいたならば、そこは全く問題ないと伝えたい。
以下、ネタバレ全開なので要注意!
ネタバレあり感想
まず良かったところから
現代パート(1980年代)から40年前(1940年代)の有名な事件を改めて推理するという状況なため、既にあらゆる推理が成された後で手垢が付きまくってくるという中々他作品にはない面白さがあった。
事件に詳しくない御手洗と事件に詳しい石岡が、彼ら独特の関係性から発生する掛け合いも乗っかった、一問一答的な前半の推理フェーズが特に好み。
やはりシリーズが続いているだけあって、この2人のキャラクターの魅力は序盤から感じさせてくれる。
ぶっ飛んでいる御手洗とちょっとぶっ飛んでいる石岡の、殴り合いつつもマジで仲いいなこいつらっていう関係性は好きな人多いだろうな〜
後は何と言ってもアゾート殺人事件の大胆なトリック。
現代のミステリー作品に調教されてる自分としては、めっちゃビックリ!って訳ではなかったけれど、この不自然な状況をアゾート計画というインパクトのある手記を最初に読ませることで気にならなくさせていて、小説の構成の妙を感じさせられた。
読者への挑戦状が2度に渡って出題されるもんだから、普段は結構立ち止まらずに読み進めちゃうんだけど、流石に今回は推理することにして、アゾート殺人はザックリとした推理は出来ていたと思う。
最期の犯人の手紙で締めるくだりもジメッとした質感を感じさせてくれて、陰惨な事件のミステリーなのに中々よい読後感を与えてくれる。
これも事件から40年経っているという舞台設定のお陰かもしれない。
個人的に京都は縁のある土地だったので、ストーリー的な意味はぶっちゃけないんだけど、京都パートは案外楽しめたかな。
文中に出てくる通り、御手洗は足で推理するのではなく頭で推理するから、対比としてこのパートが入れられたのかなと思えばまあありっちゃありかも。
次に微妙だったところ
まあこれは皆言うだろうけど、最初の2,30ページのアゾート計画の読みにくさは面食らった。
さあ読むぞ!と意気込んでページを捲ったら、占星術用語のオンパレードに狂人独特の論理で、イカれた殺人計画が語られるもんだから後何ページでこのパートが終わるのか直ぐ確認した。
まあこのパート無くしてこの小説は成り立たないので、読み飛ばさなくて良かったと心の底から思う。
後、基本事件の登場人物は実際に現れず、伝聞のみの登場だから、如何せん誰が誰か覚えるのがしんどい。
しかも最初の手記と実際の名前は漢字が違うというトラップがあったり、名前を覚えるのが苦手な自分的には苦労させられた。
良かったところにもあげたけど、京都パートは読み終えてから振り返ってみれば、中だるみしてた感も否めない。
これが推理に必要だったらそんな事思わないんだろうけど…
まあでも逆に考えて、ここまでしっかりミスリードパートを描くミステリーって現代だと中々無いと思うから、意外と貴重な体験なのかもしれない。
結語
オススメ度
5 / 5
ミステリー好きなら絶対読むべき
まとめ
ずっと読みたい読みたいと思っていたので、実際に読めて、そして期待通り面白くてホッとした。
シリーズ2作目の斜め屋敷の犯罪も買ってあるので、読みたいと思う。
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