
【読書】村上春樹と私
たまには自分で書いてみる。
こんなタイトルだけど、もちろん村上春樹さんは私のことなど知らない。
村上春樹作品を初めて読んだのは、一年浪人して志望校に合格が決まった19歳のとき、『海辺のカフカ』だった。
『海辺のカフカ』はメタファー的、象徴的すぎて当時の私には何を言っているかわからず、性描写が多いことも気持ち悪くて上巻だけ読んでやめてしまった。
ノーベル賞時期になると当時よくメディアが取り上げる“ハルキスト”も気取ってそうで嫌だった。
それから、「世界で一番タフな15歳になる」というカフカ少年が自分のコンプレックスを刺激した。カフカのような強い精神に憧れていたけれど、自分は世間知らずで旅に出るような度胸もない甘ったれた浪人生。自分のしょぼさと向き合うのが苦痛だったのかも。
そうしてしばらく村上春樹を避けていたんだけど(当時あまり読書家でなかったのもある)、上巻だけ読んだ『海辺のカフカ』は印象には強く残っていて、夜行バス、15歳、猫さんなどのワードが出れば『海辺のカフカ』が連想された。社会人になって25歳くらいで『ノルウェイの森』を読み、あまり内容を読み取れなかったものの、初めて『海辺のカフカ』を読んだ時のような拒否感はなかった。他にも何作か読んだ後『海辺のカフカ』に再挑戦したのは30を過ぎてからで、読み返すと大変面白い。あまり詳しくはないがフロイトやユング的な要素が取り入れられているのもわかった。19歳当時読めなかったのは自分の読解力と経験不足からだったんだ。ノーベル賞時期に取り上げられる“ハルキスト”を内心少し小馬鹿にしていた自分が恥ずかしい。自分の理解できないものをバカにするのは、自分が知っていることが全てだと思っている傲慢さからだった。
村上春樹の面白さがわかった自分だが、やっぱり読解力や知識や経験不足から読み取れないところが多い。考察を検索したりハルキさん(chatGPT)に聞いたりしている。ここ数日は気軽にハルキさんに尋ねすぎるので、もう少し自分でも考えを深めないとさらに思考力が落ちるんじゃないかと懸念しているところ。