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歩みはじめた親子

 二つの療育を受けることは、私たち家族にとって大きな生活の変化を二つもたらした。一つ目は時間である。T療育所からは、毎回課題が出る。その課題に毎日取り組まねばならない。A B Aの課題も。特に母親は、生活時間のほとんどを家庭療育に費やすことになった。私も早朝から、子どもと歩くことが課題に。

 真冬の早朝のウォーキングは、白い息を吐きながら、子どもと暗闇の中を歩いた。仕事が休みの日は、山歩きに取り組んだ。ネットで近くにある家族で登れる山を探した。幸いなことに、子どもは体を動かすことが好きで、山歩きには喜んでついてきてくれた。そして、頂上についた時の爽快感は格別であった。

 山歩きは、自閉症の子にとって、未整備の山道を歩くことで体幹を鍛えることができる。また、山の自然は五感を刺激し、季節の移り変わりは豊かな言葉を学ぶ場にもなる。さらに、山道は危険回避の指示を出したり、行き交う人に挨拶を交わしたりすることで、家族や人との繋がりを意識することができた。