
デレラの読書録:フランク・ハーバート『デューン砂の惑星 中巻』

フランク・ハーバート,酒井昭伸訳,2016年(新訳),早川書房
砂漠に逃げ延びたジェシカとポールはハルコンネン家に憎悪を抱くフレメンと共闘しようと近づく。
必然的にポールたちとフレメンは出会う。
かつてベネ・ゲセリットが残した予言の通りに、二人がフレメンに受け入れられるまでの物語。
生き延びるためにはフレメンと共に生活しなければならない。
しかし、その道は悲惨で陰鬱な聖戦へと繋がっている。
民族が戦争で勝利を手に入れるために自らの身体を賭す。
大量の死が未来に待ち構えていることを、芽生え始めた予知能力で察知するポール。
その道からズレようと苦闘するも未だ果たせない。
“この道を進んだどこかに狂信的な軍団がおり、ポールの名のもとに、宇宙の血まみれの道筋を残すのだから。緑と黒のアトレイデス家の旗標は、やがて恐怖のシンボルと化す…そんなことをさせてはなやない。そんな事態を起こさせてはならない”
ポールが運命に抗っている最中、宿敵のハルコンネン家は、次期男爵のフェイド=ラウサが動き出し、さらにハルコンネンはアトレイデス家のメンタートであったスフィル・ハワトを裏切らせて自らの手駒にしていた。
物語が結末へと向かって加速する。