【本の思い出】上橋菜穂子「精霊の守り人」
ファンタジー小説をほとんど読んだことのない私がこの本を読むきっかけになったのは、
でした。
私の妻も本が好きでよく読んでいるのですが、お互い好きな本のジャンルがまったく違うため、自宅の本棚にあるが読んだことがない本、というのが結構あります。
精霊の守り人を第一作目とした所謂「守り人シリーズ」も読んだことのないうちの一冊でした。
ただ、このシリーズは事あるごとに妻は何度も何度も読み返していて、表紙は擦り切れ、ページはヨレヨレになってお世辞にもきれいな状態ではありません。
そこまで魅了するのはどういったところにあるのだろう、という素朴な興味からある時手に取って読み始めてみました。
この本の話は、流浪の女用心棒バルサがあるきっかけで、第二皇子チャグムを守る旅に出ることになります。外国文学やファンタジー小説を読んでいるときの最初の壁が、カタカナ用語を覚えるということです。「覚える」というのは文字として単に覚えるだけでなく、その文化や背景なども含めてしっくりと身体の中に染み渡らせることです。
精霊の守り人もこの例に漏れず、本の世界の言葉を身体に覚えさせる、ということがしんどかったです。ただ、なんとなく本の世界観を理解し始めると、この本の面白さが一気に押し寄せてきます。
バルサの女性としての、そして歳を重ねていき衰えていく身体に対しての葛藤、チャグムの皇子として生まれた運命の悩み苦しみ、などが他の魅力的なキャラクターと一緒に展開されていきます。
シリーズが進んでいくと、今度は国と国の争いと大きな話になっていくのですが、それらが見事に面白さを倍増させながらストーリーが進んでいきます。
この本は通勤電車の中で毎朝読んでいたのですが、降りる駅が近づいてくると「もう終わりかぁ」とやきもきしながら職場に向かっていた記憶がよみがえります。
守り人シリーズをきっかけに私のファンタジーアレルギーが見事に解消されました。
上橋菜穂子さんは他にも「獣の奏者」や「鹿の王」など魅力的な本を出されていますので、もし読んだことがない方がいらっしゃったら、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
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