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口伝12日目:般若経ロングバージョン

般若経の口伝は続いている。
13:32に5巻目に入った。

以前T先生が言っていた。

般若経には
長短いろいろある。

十万頌という非常に長いものから
1文字般若と言われる「ཨ」(あ)まで。

般若心経は25偈。
人界にある最も長い般若経は
十万頌
(龍宮にはもっと長い般若経があるという)。

般若経は空性を説いている。
空性を説いていることが同じなら、
何故これほど長短さまざまな般若経があるのかといえば、

内容の違いではない。
長い般若経は瞑想するためのものなのだ。

空性の拠り所になっているものごとを
丁寧にひとつずつ上げることで
経典は非常に長くなる。

それを読みながら
それぞれのものごとに空性を当てはめていくことで、
瞑想(思考)の中で空性の範囲が広がっていく。

初心者のわれわれは
空性について学び始める時、
言葉を通して学ぶ必要がある。

言葉は思考と直結している。

言葉の音声や文字と
その意味は
思考を通じて認識されて
使われるものだから。

そして思考は
思考に現れているたった1つの対象を
捉えることしかできない。

「言われたことしか
頭に浮かばない」
ということだ。

「空性は、全てに当てはまる」と
知識として知ってはいても、

思考で(考えて)
Aの空性を正しく理解しても、
Bに当てはめることができない場合がある。

ゆえに、1つ1つの名詞を挙げて
「これも空性」
「あれも空性」と、
丁寧に思索を誘導して行かなければならない。

そのテキストが
長い般若経なのだ。

聴いていると
同じ言葉が何度も出てくる。

分類された空性と、
空性の拠り所になっているもの。

空性の本質はひとつだが、
空性の拠り所になるものの分類から
空性も
異なる言葉が頭について分類される。

空性の拠り所は
一切諸法。
あるもの全て。

てことは数え切れないくらい沢山ある。

分かりやすいところでは
われわれ人間の構成要素。
眼とか耳とか鼻とか物質的なものから
行動や心など、物質的でないものまで。
それぞれ言葉で挙げられて
それぞれが空性であると説かれる。

それよりずっと多くて
絶対にあると
(特に仏教徒に)思い込まれやすいのが、
仏陀のもつ能力・功徳。

それらをいちいち挙げて、
空である
空である
と言い続けているのだ。

般若心経では
「色即是空 空即是色。」
色(形あるもの)はそのまま空であり
空はそのまま色である。
(色はそのまま空性で、空性が「色」と名付けられる礎になっている、
とチベット仏教ゲルク派の先生は説明する)
と説かれた後、

「受想行識 亦復如是。」
受(感受作用)
想(識別作用)
行(色・受・想・識以外の変化するもの)
識(意識など)も
その如くである。
と省略して説かれているのは、

「上記参照」で理解できる
賢い弟子のために説かれたテキストだからなのだろう。

それにしても
先生の声は低くて
シュルシュル速くて
はっきりしていて
拝聴していてとても気持ちが良い。

あと数日で還暦を迎えられるらしいが
ご長寿を心より祈る。

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