菩提心の称賛《宝珠の灯》第88偈
88)悲しい時には、菩提心を思い出したまえ。
怖しい時には、菩提心を思い出したまえ。
苦が起こった時には、菩提心を思い出したまえ。
楽が起こった時には、菩提心を思い出したまえ。
全てを愛し、全てを知り、全ての利益を自然にできる、
素晴らしい仏陀の境地を目指しているとしても、
人生は順風満帆とはいい難い。
別れや不甲斐なさで、悲しい時もあるし、
命の危機や不安で、怖しく感じる時もある。
心身の苦しみで、潰れそうになる時もあるかもしれない。
悲しい時に菩提心を思い出せば、
この悲しさに寄り添って、仏が見ていてくれる。
そう思うと、
悲しみを糧にしようと気持ちが生まれるだろう。
怖しく感じる時に菩提心を思い出せば、
「怖くても、何とかやったるで~!」という勇気も出てくるし、
腹が座れば、怖しい対象が何であるかを見据えて、
それは自分の心が作り上げた幻影であると知ることができる。
幻影と現実の状況を切り離して考えて、
自他共に役に立つ、
現実的に最も有効な方法を取ることができる。
身体の苦しみがある時に菩提心を思い出せば、
以前引き受け切れなかった痛みの報いを今受けている、
あるいは、他者の痛みを知るために痛みを感じている、
あるいは、何らかの好転反応として痛みが出ているのだから、
それを受け入れようという気持ちにもなる。
あるいは、地獄の苦しみを最初に想像して、
「これくらいの痛みで良かった」と思ったり、
あるいは、
「苦しい中で利他の思いを育めば、普段よりずっと多くの福徳が積める!」
と、菩提心が燃え上がるかもしれない。
心苦を感じる時に菩提心を思い出せば、
他者の心苦に共感することを思うかもしれない。
あるいは、苦しみの原因をさかのぼり、
自心に沁みついていた怒りや欲望などを認めて、
それを捨て去るための方法を真剣に学ぶだろう。
楽を感じる時に菩提心を思い出せば、
先ず、幸せにありがとうという感謝を覚える。
他者にもこの楽、幸せをシェアしたいと思うだろう。
あるいは、楽に酔うような高揚した気分は、
逆に自分を檻に閉じ込めるようなものだと感じ、
平穏で心地良い状態に心を保つよう、
自心を観察する心を育てることになるかもしれない。
他にも沢山、
効果はあるだろう。