感想文|チェーホフ『桜の園』と 太宰治『斜陽』
悲劇(トラジェディ)か喜劇(ファルス)か?
裕福な一家が没落してゆく2つの物語、太宰治の『斜陽』は
チェーホフの『桜の園』をモデルに書かれたとも云われています。『桜の園』は1903年の作品(約120年前)、上演当初、悲劇と云う評価を得ましたが、チェーホフ自身がそれを否定して、これは喜劇であると云っています。たしかに、太宰治の『斜陽』でも、世間知らずの上流階級の登場人物たちの世間ズレが、誇張して描かれており、太宰治のいたずら精神が垣間見られるように思います。
桜の園とは?
『桜の園』は、裕福な一家が没落してゆくなかで、所有していた広大な桜の園を売却するまでの物語です。「桜の園」というと、ロシアにも日本のようなお花見スポットがあるように思われますが、この桜はソメイヨシノなどの桜ではなく、さくらんぼの果樹園のさくらんぼの園を指しています。そうであっても、地域の名所としてブックガイドに載るほどの「桜の園」ということですので、花の時期には、多くの人が訪れる人気のスポットで自慢の果樹園だったのだと思います。
また、扉絵の浮世絵は、歌川広重の「飛鳥山の花見」です。東京都北区の京浜東北線・王子駅前の飛鳥山公園ですね。当時から、桜の名所だったのでしょう。梅雨に時期には、紫陽花もきれいで、紙の博物館もあります。わたしも何回か行ったことがあります。
第二幕
第二幕は野原が舞台。登場人物たちが、エピホードフが奏でるもの悲しいギターとともにダベってます。
わたしは「原っぱ」好きなので、この場面が好きです。ゆるゆると若者たちが、とめどない話をしている。幸せはやってくるのか、こないのか?
青春だなぁ。
ロシアは風変わり?
ついでに、こんな本も見つけました。グリゴリー・ベンツィーオノヴィチ オステル (著), 尾崎 仁美 (イラスト)『悪い子のすすめ』
ロシアでは、学校でこの本が配布されて、みんな暗唱していると云うのです。ロシアの人たちの風土が分かる気がしました。
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ではでは。