SmartHRのアクセシビリティと俺の現在地
おはようございます。SmartHRでアクセシビリティ向上の仕事をしている辻勝利です。
最近うれしかったことは、開発中のSmartHRの機能がスクリーンリーダーで利用できるか、問題がどこにあってどんな風に改善していけば良いかを開発中のメンバーといっしょに検証した時のこと。
細かい改善のアドバイスをしたものの、アクセシビリティの観点で問題として上がりそうな基本的な項目がほぼなかったことでした。
このことからも、弊社のアクセシビリティ向上の取り組みが確実に進んでいることを実感して、開発チームの皆さんに感謝したとともに、アクセシビリティを製品やサービスの設計段階から意識できる組織が着実に育ってきていることをうれしく思いました。
さて前置きはこのくらいにして、僕が2021年9月に書いた入社エントリー「SmartHRでアクセシブルな社会を推進したい」を覚えている方はいらっしゃるでしょうか?
僕はこの記事の最後に、「視覚障害者が業務システムベンダーに確認すべき7つの質問」を上げて、この質問にちゃんと答えられるような業務システムのベンダーが増えることが、アクセシブルな社会を作るために必要なことだと書きました。
今回は、この質問を振り返りながら、SmartHRのアクセシビリティの現在地について紹介します。
視覚障害者が業務システムベンダーに確認すべき7つの質問って?
記事の中で僕の意訳として紹介したのは、以下の七つの質問でした。
貴社のアクセシビリティポリシーについて教えてください。
貴社はデジタルアクセシビリティの確保に向けてどれくらいの期間取り組んできましたか?
どんな種類のアクセシビリティのテストを実施しましたか?
どの(アクセシビリティの)標準にフォーカスしていますか?
サードパーティと協力して製品のアクセシビリティを監査または検証しましたか?
その結果としてVPATを取得しましたか?
貴社にはアクセシビリティを専門とする部署がありますか?
それぞれの項目について、僕が知る限りのSmartHRの現状をお伝えします。
アクセシブルな人事労務システムをお探しの方、是非参考にしてくださいね。
貴社のアクセシビリティポリシーについて教えてください。
SmartHRは「誰もがその人らしく働ける社会」を目指して製品の開発を続けています。
もちろん、製品のアクセシビリティを高めることは重要なミッションであり、障害者や外国語話者など、多くの人たちが安心して日々の業務に取り組めるような開発を続けています。
一例を挙げると、SmartHRの従業員側の機能はスクリーンリーダーを使ってほぼ問題なく操作できます。また、管理者側の機能についてもアクセシビリティの向上を続けており、機能の多くはスクリーンリーダーを使って操作することができるようになってきています。
貴社はデジタルアクセシビリティの確保に向けてどれくらいの期間取り組んできましたか?
もともとSmartHRは開発者達のアクセシビリティに対する意識が高い組織ですので、具体的にどれくらいの期間アクセシビリティ向上に取り組んでいるかを具体的に把握してはいませんが、少なくとも2021年からは専門知識を持ったメンバーが開発に参画し、アクセシビリティの向上を続けています。
どんな種類のアクセシビリティのテストを実施しましたか?
スクリーンリーダーを使って使用できるかのテストはもちろん、画面を拡大しても問題なく機能が利用できるかもテストしており、日々改善が続けられています。
どの(アクセシビリティの)標準にフォーカスしていますか?
『高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部:ウェブコンテンツ』、いわゆるJIS X 8341-3:2016のシングルAの基準に準拠すべく、試験や改善をおこなっております。
この企画はWeb Content Accessibility Guidelines 2.1との一致企画であり、準拠することで世界標準のアクセシビリティのガイドラインに準拠した製品になることを目指しています。
サードパーティと協力して製品のアクセシビリティを監査または検証しましたか?
現在は主に自社のアクセシビリティスペシャリストやアクセシビリティテスターが検証をおこなっています。
しかしながら、アクセシビリティの高さを理由に製品を導入いただいた実績もあります。
その結果としてVPATを取得しましたか?
全ての機能ではありませんが、SmartHRの人事評価の機能について『情報アクセシビリティ自己評価様式』での品質公表を行い、総務省の『情報アクセシビリティ好事例2023』に選ばれました。
貴社にはアクセシビリティを専門とする部署がありますか?
SmartHRには2024年1月から活動を開始したアクセシビリティ本部があり、専門知識を持った複数のメンバーが在籍して日々アクセシビリティの向上に取り組んでいます。
社員数の増加に合わせて2ヶ月に一度アクセシビリティ研修を実施しており、全社員がそれぞれの立場でアクセシビリティの向上に取り組めるような環境作りや、開発チームといっしょに製品のアクセシビリティを高める活動などを続けています。
俺の現在地
ここまで、SmartHRが「視覚障害者が業務システムベンダーに確認すべき7つの質問」に答えるとしたらどのような内容になりそうかを紹介してきました。
もちろん、この全てに答えられたとしても完璧にアクセシビリティが確保できているというわけではありませんが、「配慮が足りず申し訳ありません」とか「まだ特に取り組みはできておりません」と答えられるよりは、利用者としては期待が持てると感じています。
このようなアクセシビリティについての質問にちゃんと答えられる製品やサービスが増えることで、皆さんといっしょにアクセシブルな社会を作っていけたらと思っています。
是非、これからのSmartHRにもどうぞご期待ください。
そして、皆さんの製品やサービスでもこの七つの質問への回答を準備して、是非僕を初めとした利用者に見せてください。
最後に、僕個人の現在地についても少し触れてみたいと思います。
これまで、アクセシビリティスペシャリストとして、主にSmartHRの機能のアクセシビリティ向上に取り組んできましたが、7月からは人事統括本部のダイバースOPSコーディネーターユニットに活動の場所を移して、会社組織のアクセシビリティ向上に取り組むことになりました。
前述のようにSmartHRの組織はものすごいスピードで成長しており、働くメンバーの数や取り組まなければならない仕事も増え続けています。
ダイバースOPSユニットでは障害者雇用を拡大するため、様々な施策に注力していきたいと思います。
銀座に山が買える日まで、引き続き今後ともどうぞよろしくお願いします。
技術で解決可能なことを運用でカバーしない未来に向かって走ろうぜ!
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