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ボードゲーム製作におけるPM(プロジェクトマネージメント)について
この記事はBoard Game Design Advent Calendar 2020の6日目の記事として書かれました。
(1時間ほど遅れてしまいすいません)
どうも、デバッグモンキーズのSunnyです。
少しボードゲームと直接関係はないのですが、チームでの制作が増えているボードゲーム界隈においては価値があるのではないかと思ってこの記事を書いてます。
それではいきましょう。ボードゲーム製作におけるPMについて
PMとは
プロジェクトマネージメントのことて、それを行う人をプロジェクトマネージャーと呼びます。
何をするかというと、品質管理と工程管理とコスト管理の3つが主な業務です。
中の人のSunnyはそのPMという仕事を本職としています。
じゃあそのプロジェクトマネージメントが、同人ボードゲームにおいてどういう役割を果たすのかという話をしていきます。
ゲームデザイナーやイラストレーターとしてゲーム製作に関わるのではなく、PMとして関わるということを書いていきます。
そもそも同人ボードゲームと商業ボードゲームの違い
ボードゲームは2つの種類で成り立っていると思っていて、「同人」「商業」の2つがあります。
「同人は作ること、表現することが目的で、それを分かち合うという文脈」「商業は表現を広める、伝える、ひいては売ることが目的という文脈」
要は、同人と商業では作り方・広め方の手法が大きく違うと思ってます。
で、今回は制作人数というところにフォーカスして考えていきます。
最近は、同人ボードゲームの裾野が広がっておりますが、昔は個人(1人)での制作が多かったと思います。そして、同人が発展してきた今、個人というよりはチームでの制作が増えてきていると思います。
そのチームの形もゲームによってまちまちで、サークルメンバーではないがいつもゲームを作っている人との協業や、やりたいことがあってそのために集められたドリームチームとしての協業など、制作のプロセスの最初からチームというのが関わってきているケースが多くなってます。
反対に、商業ボードゲームは昔からチームでの制作がメインでした。
つまるところ、同人ボードゲームが、商業に近しくなってきているとも考えられます。
チームで制作するときにPMが機能すれば、成果をより上げることができると、僕は考えてます。
チーム制作が多くなっているわけ
じゃあなぜ、同人ボードゲームが商業に近しくなっているか。チーム制作が増えているか。
これは、同人ボードゲームの裾野が広がることで多くの人が流入した結果だと思います。
今まではゲームが好きな人が趣味で作っていた文脈から、作ることを生業とした人も入ってくる様になり、ボードゲームの制作レベルのMAX値の向上が起きました。
ともすると、個人がそのレベルに達するには時間もかかるし、それでも良いものを作りたいという気持ちは止めれませんから、出来ないこと/不得意なことを外注(アウトソース)することに繋がりました。
で、別側面から見ると、作ることを生業とした人と一緒に仕事したい!という憧れも同時に発生してると思います。
あとは、やはり自分だけでやるとその出てくるアウトプットは自分由来になりますが、他者が入ってくるとそのアウトプットが何倍も良くなることがあります。
チームに期待できることは、「アウトプットの質の向上」「苦手の克服」「憧れ」の3つかなと思います。
チーム制作で大事なこと
ここからは実制作を元に、大事なことを書き散らします。どうやってPMとして関わるか、機能していくか?
①大前提を理解して共有し合う
PMという仕事は船で言う、航海士に近いと思います。「どうやったら目的の場所に辿り着けるか?」
作りたいボードゲームが浮かんだら、その大前提を理解しチームで共有します。
大前提とは、誰のための何なのか?です。
誰とは、プレイヤー属性程度でまとめるか具体的な像を当てはめるか、これは作るゲームと状況によると思います。もしかしたら、自分のためかもしれません。
例えば、正体隠匿系が好きな人へ、ワーカープレイスメントが好きな人へみたいなターゲット設定や、もう少し細かくして、人狼が苦手だけど推理はしたい正体隠匿系が好きな人とか、そういう設定もあるかと思います。
何とは、どういう立ち位置のものなのか、ということです。わかりやすい例だとプレイサマリーやジャンルだと思っています。ボードゲームの外側を構築する部分。
中量級なのか?軽ゲーなのか?パーティ系なのか?大人数対応?2人用?じっくり?
徐々に詰まってくることではあると思うので最初は大雑把でいいと思います。ただ、決めておくことが走り出すことにつながります。
大事なのはこれを共有しておくこと。そして、そこにチーム全体が納得していること。
チームに迷いが生じてるとき、良いものは出来ません。その最初の方針となるのが、この大前提です。これがあれば、チームの各メンバーが各々で考えて行動することができると思います。
チームの最適化を行う最初の一手です。
これは、上で言う、アウトプットの質の向上という考えです。
②余裕を読み、裏を取る
これは職場でよく言われました。笑
要は「そのスケジュールでいけるの?」ということです。PMとしての工程管理の大きい軸です。
まずゲームって製作するだけじゃなく、それをどうやって形にするのか・広めるのか、という大枠の部分も必要になってきます。もちろん、良いゲームを作るにあたり、どのくらいテストプレイの期間を設けれるか、そしてそれにどのくらい納得できるか、完成度に対してどこまで積み重ねることが出来るか、そういうところも気にしないといけません。
となると、もちろん余裕を見る必要がありますよね。スムーズにいけば2か月で出来ることがあったとして、本当に2か月しか準備しないんですか?と。
その感覚値的な「●●か月」という単語は、自分が風邪にも事故にも巻き込まれず、かつ関係者が風邪にも事故にも巻き込まれない前提の数字です。これは現実的じゃないですよね。
そういう余裕を見ることが非常に大事。
そして、忘れがちなのが、制作物の修正の期間。最低3回は修正の期間をみるべきです。ありえないミスをしてしまいます。
そういう見込みの製作期間に対して、裏を取っているか=確認をとっているか。本当にそのスケジュールでいけるのか?
よくあるのは印刷所やコンポーネントの到着までの期間(納期)です。この納期って、結構時期によって変動があります。閑散期なのか繁忙期なのか。
事前に確認しましょう。これはちゃんと問い合わせで対人で確認しましょう。HPでの表記には幅があります。
こういうスケジュールでいきます!(「間に合うかわからんけど」)なんていう状態を避けましょう。そう
③自分ごとにする
これが最後です。PMとして関わる時、結構他人事というか外側の感覚を持ってしまうことが多いんですよ。やはり、ゲーム製作って、ゲームデザイナーやアートワークがメインに取り上げられることが多いので。
でも、チームってそういう事ではないと思っていて、チーム全体の成果として、よりよい結果をあげるためには、ゲームデザイナーなど他の関係者の行っていることについて「自分ごと」にする必要があると思います。
仕事としての割り切りもありますが、割り切りすぎず、ちゃんと寄り添う。三方良しになっているか。
プロジェクトマネージメントなので、マネージャー的な包括的な視点、相手のやっていることに対して自分のことのように思う、それが成果につながる、という感覚が非常に大事です。
というわけで長くなってしまいましたが、ボードゲーム製作におけるPMのお話でした。裏側の裏側です。
チームでボードゲーム製作するときにSunnyが考えていることでした。
去年の記事も見てみてね。