見出し画像

うちの子と過ごした、最期の日々。   -今だからこそ思うこと、スタッフのお見送り経験談-


「私に、何か出来ることはありますか」

初めて老衰でうちの子を亡くす少しまえ、
動物病院へそんな相談をしに行きました。

一昨年の夏のこと。
こちらの足あとスタンプの記事に出てくる
私の愛するキジトラ猫のお話です。


初めて老衰で見送った、あの子


今まで猫とばかりご縁があり、
自宅には手元供養をしている
愛猫たちの骨壷が3にゃん分あります。
どの子も病気で旅立っていきました。

病院に通い、治療方針を決めて、
検査結果に一喜一憂し、
毎日何かに迷っては落ち込んで
それでも頑張るうちの子の姿に
泣いたり励まされたりと
最期まで忙しい日々を送る。

うちの子の旅立ちはそういうものだと
すっかり思い込んでいたのだと思います。


これからお話するのは
私が初めて老衰で見送った
うちの子のお話です。


「この年齢でこの数値は花丸ですね!」

そう言われるほど元気な体の持ち主でした。
それでもやはり寿命は見えてきて、
ゆっくりと旅立ちの準備を始めだしたうちの子。

だんだんとご飯を食べなくなって、
だんだんと動くことが少なくなって、
だんだんと体温も低くなって、
眠る時間が増えていきました。


ひとり焦ってしまった、あの日々


穏やかにその時へ向かい始めたうちの子に
してあげられることが何も浮かばず、
私はとても焦っていたのだと思います。

それで、冒頭の相談のため
動物病院へ伺ったんです。

「あの子のために
 私に、何か出来ることはありますか」


うちの子も連れて行かず、
人間ひとりで相談にいったにも関わらず
先生はしっかりと話を聞いてくださいました。


「シリンジで水をあげても、
 本人(猫)が必要ないなら飲まない」

「自分で決めて、旅立ちの準備をしているから」

「ゆっくり側にいてあげて」

そんな返答をいただきました。

今考えてみれば「そりゃそうだよな」と
思うことばかりなのですが、
当時は「何もしてあげられない」ことが
悲しくてやり切れなかったんです。


でも、結局は先生の言う通り
ゆっくり側にいてあげることが
私がうちの子のために出来る
なによりのことで、
うちの子が私に求めてくれたことでした。


あの子との、最期の日々



最期の数日間は、ずっと側にいました。

「ちゃんと側にいなさいよ」

もしも目で話が出来るとしたら、
あの子はそう言っていたと思います。

無力感にひとり焦っていた私の心を
毛羽立った毛並みを整えるように
目線だけでなだめたうちの子。

私は、あなたに一生敵わないよ。


最期の日の朝からは、
半分意識がないような状態でした。

穏やかに呼吸をする体は
上下しているのかも分からないほど穏やかで、
熱いほど温かかった体は
旅立ちの準備のためゆっくりと冷えていきました。


それでも、かわいくて。
もう瞳孔の反応も鈍くなった
黒目がちな目をしたあの子を
ずっと、ずっと見ていました。


「かわいいね」

「今までずっとありがとう」

「大好きだよ」

「何も怖くないからね」

「何が変わってしまっても、
 ずっと大好き」


そんなことを繰り返し伝えているうちに
あの子はかわいい鳴き声を2回あげて
そのまま呼吸を止めました。

命の全部を使い切るような最期でした。


これから大事なうちの子を見送る、
あなたへの願い



この時の後悔をひとつあげるとすれば、
「うちの子のために出来ることを
 うちの子抜きで考えて、
 ひとりで思い詰めてしまったこと」
です。

もっとうちの子を見ていれば、
ただ一緒に穏やかな時間を過ごすことが
あの子と私にとっての最良で
かけがえのない事だとわかったはず。

そこに行きつくまでに
動物病院に相談に行くなどして
遠回りしてしまったな・・・と痛感しています。


普段通りの自分だったら
直ぐに気付けたのかもしれません。

ただ、もうすぐ旅立ちが近いのだと
うちの子の様子から思う日々の中で
普段通りに物事を考えるということが
難しかったのだと思います。


最期の時をどう過ごすのか。

明確な正解は、きっとありません。
だからこそ家族は思い悩み、
何がうちの子にとっての一番なのかを
必死で考えるんですよね。


何か出来ることはないか、
それこそ心を削るような思いで
必死に。


だからこそ、この経験を踏まえて
「何か出来ることを探す時は
 大事なお子さまを何よりも見て欲しい」
そう願っています。


最期の日々の過ごし方に
正解も不正解もありません。

ただ、お子さまとあなたにとって
これが一番だと思えるような、
そんな大切な時間をお過ごしいただけますように。

心から願っています。



筆者は現在2匹のやんちゃ娘🐈と暮らしています。
終活にはまだ早いかな?と思いつつ
今だからこそ出来ることを模索中です。


大事な”うちの子”が旅立つその前に
知っていて欲しいことをまとめた記事です。


大切な家族の旅立ちが、
少しでも悔いのないものとなることを願って。


こんなお店で働いています。
うちの子に「ここで働きなさい」と
導かれた感がすごいです。



いいなと思ったら応援しよう!