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『フィンランド語は猫の言葉』稲垣美晴
昨日からまたドイツに出張に来ている。今回はこれまでより長くてほぼ1か月滞在する予定だ。
ひとり長期間で日本を離れるときは、独特の淋しさがある。
19歳の夏、1年間の交換留学でアメリカに渡ったとき。
27歳の春、6か月のインド勤務に向かうとき。
過去の経験から、私はこの不安も現地に着けば解消することは知っている。
それでも、胸のあたりがざわつく。
たいてい出発するのは成田空港。
慣れ親しんだ西東京の郊外から池袋・新宿に出てきて山手線で日暮里まで。
そこから京成線に乗り換えて、成田へと向かう。
すでに少し感傷的な気分になっている私には、車窓から見える田んぼがやたらと美しく見える。
海外へのフライトの場合2時間前までにというのが相場だけれど、心配性な私は今でも3時間前には着くようにしている。
早めにチェックインを済ませて出国検査を終える。
事前に指紋認証をしておくと、自動化ゲートが使えて便利だ。
いちど自分が乗る飛行機の予定搭乗ゲートを確認するとようやく一息つける。会社のパソコンで簡単にメールチェックを済ませれば、あとは文庫本を開いて搭乗時刻を待つだけだ。
こういう時はたいてい海外の長期旅行や滞在記を読むことにしている。同じような境遇の人の文章を読むことで、淋しさが紛らわせるからだ。
アメリカに行くときは村上春樹のこの2冊をよく読んでいた。
さて、ようやく本題に辿り着いた。
今回は初めてヘルシンキ経由でハンブルクへ行くことになったので、稲垣美晴著『フィンランド語は猫の言葉』をKindleから引っ張り出して読み返してみた。
「人生は二度とない。人生の生き甲斐とはあらゆる真理を探求し、後世にその足跡を残すことである。父と同じ考えのもとに努力している子供のいることを誇りに思う。いかなることにも困難はつきものである。困難とは己の思うとおりにならぬことである。人生の妙味とはそのことであろう。自分の正しいと思うことに躊躇することはない」
ドイツの北の片隅で私も少しばかり足跡を残せるよう日々努めたい。