「マジックブック幻想」〔コイネージ【新造語の試み】1-1 Ver. 2〕
「本を読めば、それだけで自分は変われる」。
そう考えてしまう心理状態をさす、「マジックブック幻想」という言葉を新たに造り、そう呼んでみる。
本の内容を基にして、思索を深めたり、行動を起こしたりするのではなく、「"本に"自分を変えてもらう」という"超受け身"な態度だ。
RPGゲームには「魔法の書」という、"読むだけ"でスキル取得やレベルアップを果たせるアイテムがたびたび登場するが、これを現実の世界に求める態度でもある。
例えば、ハウツー本を読んだだけで、直ちにスキルが身についた気になったり、教養本・ビジネス本などを大量に読み漁ることで、人としてのレベルが自動的にアップしたと思い込むのが、それだ。
言うまでもなく、現実世界に「魔法の書」など存在しない。
自分を変えるのは「目的に向けた思索と行動"のみ"」であり、本はそのための「光明・道導となりうるもの」に過ぎない。
そこを抜かし、本に書かれた"斬新な正しさに魅了されたままで終わる"のなら、「何百冊読もうが自分は全く変わりはしない」。
本は「道具」で、読書は「手段」。
当たり前のことながら、ゆめゆめ忘れてはならないことだ。
(2021/11/14に投稿したものを改編)