「浅草ハイボール 電氣ブランサワー」〔グルメ【飲食の印象】2〕
知っている人は知っている。
浅草の老舗「神谷バー」。
1880年(明治13年)創業の日本最古のバーとのこと。
僕も2回行ったことがあります。
ここの看板メニューが「電氣ブラン」。
銘柄に「電氣」の文字が入っているのは、「電気」の存在自体が珍しい明治時代に誕生したから。
当時、真新しいものに「電氣〇〇」という名前をつけるのが流行っていたそう。その流れで電気にブランデーの「ブラン」をつけ「電氣ブラン」と呼んだのが、銘柄名の由来。
「電気ブラン」ではなく、「電氣ブラン」なのが"当時の名残"をよく表している。
それをハイボールにしたのが、この「浅草ハイボール 電氣ブランサワー」(合同酒精)。
値段も高くなく、「電氣ブラン」を知っている身としては「おっ!」となるには充分な一品。
「よし、次の(週一の)飲酒デーはこれを飲もう!」と購入して、意気揚々。
そして、迎えた当日、いざ飲酒!
「美味しい!」、
…けど、
「…あれ?『電氣ブラン』ってこんなんだっけ?」
というのが率直な感想。
バレンシアオレンジジュースを彷彿とさせる爽やかな甘さに、ブランデーの風味。ハイボール酒単体としてみれば美味いし、ライトで飲みやすい。女性が好きそうな味。
けど「電氣ブラン」とはちょっと違う。
本物の「電氣ブラン」はジン、ブランデー、ワインキュラソー、薬草といった「素材の個性たち」の集合体。
各素材が剣山のようにまとめて尖ってくる、クセの塊のようなお酒。超個性的で、好き嫌いの分かれそうな味(僕は好き寄り)。
そんなお酒がハイボール缶になったら、あら不思議。
剣山の針が、根本からまとめて刈られて丸くなっちゃった。
神谷バー唯一無二の味が、美味しいスクリュードライバーになったというか。
パンクロッカーが、『ゆず』を歌い出すような感覚に近いというか。
行ったことがある一流ラーメン店の名を冠したカップラーメンを食べて、「ん?こんなんだっけ?」となる感覚に近いというか。
さっき「飲みやすい」と書いたことが、そのまま電氣ブランっぽくないことを表してる。
ちなみに、アルコール度数も本物は30〜40%に対し、ハイボール缶は5%程度。
だけど、それはいいかなー。あまりストゼロ寄りにしても、ユーザーを選ぶだけだから(僕はストゼロが好きじゃない)。
お酒としては美味しいし、神谷バーに行ったことがない人がレトロな雰囲気を楽しみたいならオススメ。
けど、「電氣ブラン」を求めて飲むと、元を知っている身としては「ちょっと物足りないなー」となるかも。
…うーん、これ書きながらだんだん本物の「電氣ブラン」飲みたくなってきたな。
浅草は今住んでいる場所からは、やや行きづらいところにあるので、酒だけを買って宅飲みで。
(なぜか6本売りになってるけど、1本(622円)で十分)。
このお酒、ややレアで置いてあるお店は限られるのだけど、僕は1店知っているのでそこに行けばよし。
飲んだときは、また別でレビューします。
…あぁ、もしかして"これ"を狙ったのかな?本物を知っている勢には、本物を飲みたくなるように作られてるのかな?。
だとしたら、複数の意味で"うまい"。