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すすむ

自転車でこけた。
自転車を走らせながら、前カゴに乗せたカバンのポケットを探ろうとして、バランスを崩した。
こける時は「ァ しまった」とハッキリ呟けるくらい間がある。
ドシャッと自転車が横倒れになり、日傘が曲がり前カゴが歪み、内蔵型の変速機が効かなくなった。

仕事で約束の時間があるので、さっさと立ち上がりまた自転車を漕ぎ出す。

痛みはほとんどなく、外傷も目立たず、なによりホッとしたのはこの夏に買った白のパンツが破れていなかったこと。

打撲と擦り傷ですんだ。内出血も誰にもバレなかったし、約束にも遅れなかった。

7年前に自転車でこけた時には受け身が全く出来ずに右足を骨折した。そのときは、私は人生に行き詰まりを感じていた(けれど自分では気付いておらず向き合ってもいなかった)時だった。

心がまともだと、自転車でこけても受け身が出来て損傷も少ないんだナと感じながら先を急いだ。

今日は続けざまに辛い話を聞く1日だった。(介護保険の相談支援員の仕事をしている)

人の気持ち、立場などにひきつけられて、自分も同じように感じてしまうところがある。
人の人生って辛いことがあるもの、とつくづく感じる。心のうちでどれだけ身につまされようと、それが自分の表面に現れても、ストレスとして蓄積してもマズイ。内面を整えておかなければ仕事に影響がでる。なにより自分が、仕事をしんどく思ってしまう。

骨折したあのころ、怪我も全治3ヶ月だったが、心も人の辛さをモロに浴びていた。

今日は、自転車が歪んで重くなっても、打撲傷ができても、辛い話を立て続けに聞いても、なんとかしなやかな状態でいれた。

明日もやるぞと思えた。

明るい方へ明るい方へ。

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