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自治会DX事例視察③ー田上新町編ー
こんにちは!
前回の記事に引き続き、自治会DXの先駆事例視察の結果を報告していきます!
前回の記事はこちらから。
今回、DCDは2024年7月31日(水)に金沢市の田上新町町会館にて、田上新町町内会さんへヒアリングを実施しました。
田上新町も前回の記事の米泉校下と同様、結ネットを導入し自治会DXを図っている町です。
田上新町の自治会DXは他の自治会とはひと味違う。
結ネットの高い導入率や町内会のみなさんのITリテラシーの高さに目を見張るものがありました。
結ネットの導入状況・導入経緯
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田上新町の結ネット導入率はなんと町会加入世帯の8割。
導入初期から65%ほどはアプリの導入ができていたそうで、高い普及力が伺えます。
各戸への導入のお願いする際に、町内会の中にある班長から班員へ各戸訪問にて導入するなど、組織構成をうまく使いながらしっかりとマンパワーを割いて押し進められていました。
導入の一番の目的は防災。災害安否確認や災害情報の迅速な伝達はやはり関心が高いようで、副次的な目的として電子回覧板などの普段使いできる機能にも着目していたそうです。
導入に至る背景として、田上新町町会は413世帯あり田上地区28町内会では最も大きく、金沢市の中でも大きい町会の一つです。大きいからこそ素早い情報伝達のため、町会の総会に諮り導入を決めたとのこと。また、世帯数が大きいことで当時、導入した5町会の中で補助金の割合が大きくなり、町会の負担も少なくなった経緯があります。こうした金沢市からの補助金もあり費用面でも導入しやすかったことがあるようです。
アプリの管理運営体制
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結ネットの操作は町会役員の方が行っていますが、操作はさほど難しくないとおっしゃっていました。金沢市の他の自治会ではICT委員を置くことでデジタル媒体が得意な方が管理を担う体制が取られていますが、田上新町の役員の方々は「導入前の不安はあったが専任担当は必要なほど難しくない」とおっしゃっていたのが大変印象的でした。
田上新町も若手役員の参入は課題であるものの、現役員の方々ももともと町会名簿などでEXCELに慣れていたり、PCの操作に抵抗が低い方々のように感じました。こうしたITリテラシーの盤石さも自治会のDX化を円滑にさせる要因であるのかもしれませんね。
普段の使い方
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普段の使われ方としては、やはり電子回覧板の機能が最も使われているようです。紙の回覧板(紙回覧)も併用しているようですが、全戸に紙回覧を回しているわけではなく、希望する世帯にのみ回すようにしているとのこと。
電子回覧はその発信のスピード感がメリットに挙げられますが、紙回覧も希望性にすることで回覧スピードを上げることができ、アナログ・デジタル両面で良い影響が見て取れます。
また、紙回覧は町内会で各班ごとに資料の仕分けを行う必要があるため、この点も電子回覧を導入することで業務を減らすことができているとのことでした。
他にも、ゴミ出し間違いの注意喚起、「不審者が居た」との注意喚起、また「地震後の屋根や瓦の修理」に関する県外ナンバーの怪しい業者に対する注意喚起が迅速に発信されているとのこと。こうした注意喚起は周辺住民全員が見れるものですので、ゴミ出し間違いの抑止効果や町の安全・治安維持効果も期待できますね。
想定外の使い方も!?能登半島地震での利活用
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能登半島地震で田上新町は土砂災害がニュースとなりました。幸い住民は外出しており、けが人は出なかったものの、斜面の盛土崩落により住宅が全壊する被害がありました。
今回ヒアリングを行った田上新町会館はがけ崩れが起こった住宅地のすぐそばに位置しており、震災の際には避難所として活用されました。
避難所では、不足する物資を結ネット伝いに発信することで、すぐに十分な量の物資が支給されることがあったそうです。ほかにも、スマホを持っていない人の安否確認を他の方が代理送信してくれたりと、災害時に思わぬ利活用がされたことを教えてくれました。
また、訓練のときは安否確認のみの方や既読のみの方もいたようですが、実際の災害時には、どこに居るかなどコメント付きでの発信をしてくれる方が見られたのも嬉しい想定外のようでした。
お話を通して、こうした災害利活用の背景には、「普段から使っているアプリであること」「定期的な防災訓練で災害モードの使い方を知っていること」が重要であるように感じられました。
抱えている課題とこれからの利活用
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災害活用では、一部課題も浮き彫りとなります。
田上新町では災害モードへの移行権限は会長のみが持っていたとのことで、今回の能登半島地震では、問題なくスムーズに災害モードへと移行できたものの、会長が何らかの被害を受けてしまったとき、対応が遅れてしまうことが懸念されます。
そこで田上新町では、この移行権限を他の役員も持てるように体制整備を行えないか、議論がされているとのことでした。
経験を通して見えてくる課題。これからアプリを導入する地域にとっても非常に重要なお話ですね。
災害時以外の活用では、もっと住民と自治会の双方向のやりとりが欲しいとのこと。コロナを経て地域のイベントも減ってしまったままである点も踏まえ、結ネットの投票機能を使ってみんなが参加できるイベントができないか模索しているとのことでした。
デジタル上だからこそ気軽に住民参加がしやすいところをうまく活用して、地域の活性化に繋がると良いですよね。
自治会のDX化はただの効率化ではなく、人口減少や時代の変化に地域全体で対応するものだという観点からも田上新町らしくアプリが活用されていく過程は今後も注視していきたいですね。
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今回の記事はここまで。
ヒアリングにご協力いただいた田上新町のみなさま、本当にありがとうございました!