SHUT UP 貧困、格差、性暴力、今を生きる女性たちの絆と戦い
あらすじ
田島由希(仁村紗和)、川田恵(莉子)、工藤しおり(片山友希)、浅井紗奈(渡邉美穂)の4人は、同じ大学寮に住む仲間同士。
アルバイトをいくつも掛け持ち、生理用品の購入もままならない貧困大学生だ。
ある日、恵が名門大学の学生・鈴木悠馬(一ノ瀬颯)の子どもを妊娠。
自分に責任はないという悠馬。迫る中絶期日。
3人は恵のために苦渋の選択としてパパ活を行うことに。
そして復讐として悠馬から100万円を奪い、警察で事情聴取を受けることになってしまう。
4人の運命は果たして……?
感想など
主人公の由希たちのような上京して奨学金をもらってアルバイトを掛け持ちしながら苦学する外部生と、名門大学の附属学校からエスカレーター式に進学し親の権力と金を使い放題な鈴木悠馬たち内部生の大学内部の経済的だけでない様々な格差、由希たちと悠馬の彼女の彩(芋生悠)とのシスターフッドは、映画「あの子は貴族」。
由希の友人の恵が、憧れてる悠馬に酒を飲まされ自宅に連れ込まれて望まない妊娠をさせられた復讐の為に悠馬のサークルの収益を強奪したり、悠馬の犯罪の被害者から話しを聞いて告発しようとする展開は、映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」であり映画「SHI SAID その名を暴け」。
恵の堕胎費用を稼ぐ為に由希たちが、パパ活に手を染め、生活苦からパパ活から足を洗えない展開は、「東京貧困女子」。
様々なフェミニズム映画やドラマのコラージュ的既視感はあるけど、格差や差別に苦しみ性的同意や望まない妊娠の堕胎費用の公助など身を守るための知識がない教えられていない上で悪手に出てしまい沼にハマっていく由希たちの行動にヒリヒリするハラハラドキドキするサスペンスは、仁村紗和たち若手俳優の演技の生々しいアクチュアルなリアル感もあり毎回見逃せなかった。
お金がないから知識がないからと黙らされ続けた由希たちが、性暴力や性的同意の定義を知り、被害者や彩と連帯して悠馬たちに立ち向かう展開は、性暴力や性的同意の定義を知らない若者にとってのリアルな教材であり考えるきっかけになるこのドラマの意義や制作陣の志が込められていて、観る者が啓発され沁みるものがあった。
若者だけでなく大人にも、必見の青春サスペンスドラマ。
U-NEXTで配信中。