水と季節の虚構
水と季節の虚構
水を飲んでいると呼吸が苦しい
自動車がクラクションを鳴らさずに
目の前を通り過ぎていく
何もかも見失った青春の日々に思いを馳せ
溢れ出る詩情をふつつかな言葉で紡ぐ
その先に答えなんてないとしても
間違った道をただ脇目もふらずただ進んでく
迷いながらすべてを考え尽くした挙句
メッキの剥がれた世界にさよならを告げて
新しい場所に身を投げ捨てるのに
挫折し煩悶しズタズタになり砕け散る
その日常の中で産まれた詩は
自分だけのものではなく社会の公器となって機能する
アナロジーやメタファーでない
具体的な言葉を探し続ける
五七五七七に収まりきらない
思案が心から湧き上がってくる
目の前にいる犬(名前は月・犬種はボーダーコリー)も
ゆっくりと時間の経過とともに
年老いていき僕を見てというアピール
が緩慢になっていると自分は実感する
さっきまでいた渋谷は自意識の虚無に
満ち溢れ黒人や白人そしてアジア人で
賑わっており日本語は消え失せている
自分自身のアイデンティティが
混濁してわからなくなっていく
意味や言語が崩壊しバベルの塔は崩れる
自分は誰のものでもない自分だけのもの!と叫びたくなって
繰り返し繰り返し冬に冷えた水を飲む
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noteは毎月更新しています。東京を歩くたびに僕の世界はアップデートされています。その日本一の都市で日々起こる日々の現象を描いていきます。お気に入りの記事があったらいいねコメントしてください。