1番には、たぶんなれない
題名と可愛らしい表紙からわかる通り、「一生懸命頑張らなくてもいいじゃん」というメッセージが詰まった一冊。
この間ちらっとAmazonのランキングを見たら、50位くらいだった。
みんなけっこう疲れているのかしら。
私はけっこうな負けず嫌いで、人生の半分以上「1番じゃないと嫌だ!!!」という気持ちを原動力に爆走してきたように思う。
自分よりできる人、あるいは自分と同じレベルの人がいれば、真正面から正当な方法で蹴落として上に行きたいと思っていた。
それで1番になったこともあれば、上には上がいて歯ぎしりしたこともある。
その結果今の私がいるから、それはそれで悪くなかった。
でも「1番には、たぶんなれない」と思い至ったのには理由がある。
まず、なんでもかんでも「1番」とか「2番」とかの指標をつけられるものではないし、そういう世界で本当に努力している人は自分を「1番」だとは思わない。
例えば、語学。
まずネイティブじゃない人がネイティブになるのは、言語学的にも無理です。後天的に学習してどんなにうまくなっても、ネイティブとは微妙なところで違いが出てくる。というかそもそも「ネイティブ」ってなんやねん、という点に疑問をもつ流派もあるのはさておき。
英語が大好きすぎてアメリカに何年か住み、アメリカで英語教育の博士をとった教授が、「私は自分の英語が上手だなんて思ったことはありません。」とおっしゃっていたことを思い出す。もちろんその方は私からしたら(言語に「上手」「下手」というものがあるのならば)英語が上手だし、そこいらのネイティブよりも色んな難しい単語を知っている。
「かっこいいな」と思った。
まさに「学びて然る後に足らざるを知る」。
私は英語ネイティブではない。ようやく英語でコミュニケーションがとれるかな、レベルになったくらいのときには「え、英語って案外しゃべれちゃうじゃん★私って英語できるんだ★」と思っていた。
街中で全裸になるより恥ずかしいですね。
デキると思うことはもちろん大切だけどね、そういう自信もないと挑戦できないし。
でも本当にネイティブたちの中で、同じ言語力があるのは当然と思われた上で戦ってみたら、「自分まだまだだわ...」と思った。せめて言語以外では絶対負けないと心に誓って狂ったように勉強しても、「言い回しがかっこよかった」とか「自分の知らない単語を使った」とかだけで心が折れた。教授が言っていたのはこういうことだと思った。
ある意味、逆説的に勉強すればするほど自分が完璧でないことに気がつく。
いやもちろん「1番」「2番」とか指標があって、努力し続けて「おれが/私がNo.1だ!!!」っていう人もいるしそれは素晴らしいことだと思うけどね、ローランドさんとかね。
ま、この本はそういうことを言ってるんじゃないんですけどね。
そして、「1番になれない」んじゃなくて「1番にならない」選択をするのは逃げじゃないとも最近思う。
例えば、私は全然会社で出世したくない。
出世すればするほど負わないといけない責任は増えるし、忙しくなる。
もちろん出したバリューについてはちゃんと評価してもらってお金はほしいけど(え)、身を粉にして働いてまで「出世頭」にはなりたくない。定時で帰ってのんびり本読んで絶対に毎日8時間寝たい。
それはそれでハナマル💮と言ってくれるのがこの本です。
元気な人はぱら〜〜〜〜っと読んで「ふ〜ん。ま、私何も悩んでないけど★」と思うのもよし。
元気じゃない人はじっくり読んで涙するのもよし。