- カナダの日常 vol.20- Listen to the Music !
クラシックの世界へようこそ
今回はDoobie Brothersの話ではありません。私、クラシックのコンサートって、どこぞの公民館でやってたファミリーコンサートとウィーンの野外コンサートくらいしか経験がありません。誰でもウェルカム系。ゆえに、その辺の教養はない訳です。
で、5月の頭になるから随分前ですが、乗り気ではないながら、行ってきました、クラシックのコンサート。一張羅のジャケット着てね。誰も寝てはならぬ、ではなく、隣で寝てはならぬ縛りはありましたが。寝落ちた瞬間エルボーですわ。
ジュニア部隊はほぼ中華系
オーケストラの本番の前に、高校生たちの演奏がありました。プライベートスクールだそうで、お育ちの良さそうな方々。演奏したのはヨハン・シュトラウスとか私でも知ってる曲、初心者向けで良かったです。驚いたのは、その演奏メンバー。20人、25人っているんですが、ザッと見た感じ、ほぼ中華系。コケージャン1人か2人くらいじゃないですかね。良く見ると客席もゆとりがありそうな親が実は多い。恐らく彼らは中国の富裕層の子弟なんでしょう。富を極めると芸術に向かうってことですね。
あんたにゃ敵いませんよ
前座で軽い驚きを得て、いよいよプロフェッショナルたちの登場。
どうやら、この日は日本人の有名なピアニストが演奏するそうで、ああ、なるほど、だから突然こうなったのかと思いました。角野隼斗さんという方。
知らないの?って言われて、知るわけあるか、って思いましたが、YouTuberとしても人気だそうです。この方、塩系のシュッとした感じで、黄色い声の理由がわかります。私からすると、ケッって感じ。おまけに演奏する曲も聞いたことない曲ばっかりで面白くないし。
が、家に帰って調べて驚愕。彼は、音楽家の家で育ち、開成高校から東大に進んだそうで。東大で音楽の推薦ってあったんだって最初思っちゃいましたが、そうじゃない。勉強ができるだけでなく、ピアノの才能に加えて、相応の努力もしてるとなると、どうすりゃいいんすか。いや、世界で生きていく人ですね。
オーケストラで感じる組織の力
イケメンピアニストのパートはそれはそれでなんですが、私の“寝てはならぬ”はまだ続きまして。休憩後にまた何曲か演奏するわけです。今度も知らない曲のオンパレード。つまんねーなぁと思ったんですが、ある面白いことに気づきましてね、それにのめり込んでました。
それは何か?指揮者です。Conductor、マエストロっていうんですかね。
オーケストラって、バイオリンやらなにやらって、楽器やってる人たちはそれぞれがプロフェッショナルな訳で、指揮者は拍子を取りながら、そのグループグループを巧みに操るというか、コントロールします。で、結果、調和されたり、強弱がついたり、テンポが出たりするメロディが出来る訳です。この様子がね、見てて“スゲッ”って思いました。
指揮者も結局いろんなタイプがいるんじゃないかと思います。実際は知らないし、わかりませんが。
はい、ここバイオリン、グイグイきちゃってとか、はい、こっからはトランペット、アピちゃってとかって。クラリネット、おたくはしばらく我慢しててね、とかね。指揮者も自らが引っ張って音を創っていくタイプと、各楽器部隊に委ねて自分は調和に徹するタイプとか、いくつかタイプがあるんじゃないかって。
指揮者もいろいろ思うところあって、バイオリンのリーダー、腕はいいんだけど、周りに合わせるの下手なんだよなぁとかね。チェロ、必要以上に目立とうとするんだよなぁとか。フルート、スキルあるのにいつも自信なさげに演奏するんだよなぁとか。そんなことを妄想していると、楽器弾いてる人と指揮者にくぎ付けになって。結果、終わった時のスタンディングオベーションに出遅れました。
指揮者の指揮してる内容を追ってると、どこを調節しようとしてるのか、で、こういうメロディなんですねっていう。なるほどって一人で感心してました。音が響き交わるわけです。なにより、その道のプロ達をうまいことまとめ上げるってのがね、素敵です。こういうのはお互い尊敬するとか、信用信頼関係がないとうまくいかないんでしょうね。
拍手はいつやめればいいのか
”アンコール”ってあるかと思ってたら、アンコールなんてないんですね。バンドのライブだけか。さすがに、アンコール!アンコール!ってお下品なことはない訳で。だから、コンサートが終わるタイミングが良くわからなかったです。指笛とかやっていいのかなと思いましたが、ま、やらないほうがいいっぽいですね。拍手も指揮者がはけたと思ったら、また出てきたりして、いつまでやるんだよ、っていうね。マナーなのか、エチケットなのか。
当初はイヤイヤでしたが、食わず嫌いというか、行くなら何かを、の貧乏根性なのか、時間の無駄ではなかったです。しかし、これも噛じると奥が深いんですよね。クラシックの曲って、物語みたいになってたりするんでしょう。第2章はこういうシーンを表現してます、みたいな。そんなん、わかるかぃ!
そういうわけで、私にとってクラシック音楽の世界は、知らないことがあるから知りたくなるのと同じように、知的好奇心の探求対象なのです。
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