【感想文】課題設定の思考力(東大エグゼクティブ・マネジメント) (東大EMP・横山禎徳)
ページ数:229ページ 2012年著
著者プロフィールは以下の通りです。
※今回は人生を変えたいと思っている人に向けて
結構刺さる内容になっていると思います。
特に最後の【仮説】の部分を読んでもらえると、
共感してもらえるのではないだろうか。
【なぜこの本を読もうと思ったのか?(自分の弱みや足りない点)】
・優秀な友人から
「これは思考を鍛える上で勉強になる」
と言われて紹介されたから
・東大と言う自分の知らない領域で、
その中でも更に突き抜けちゃった人が
一体どう言う思考しているのだろうかと気になる
【なぜそう思ったのか?】
私は自分自身を「課題発見家」と称しているだけあって、
問題の本質を抽出し、課題化する事を重要視している。
その力は常に磨きたい。
2,991文字/1,440文字
【❶結論】
【リーダー、マネジメントは‘’問いかけ‘’が何よりも重要】
まずこの本はシンプルに
自分の知らない世界が広がり過ぎている(笑)
自分の未知さっぷりを思い知らされた。
読んでいて難解なジャンルもあれば、
単純に自分が無知で遅々として
読み進められない事もしばしば。
ドグマ、
アリストテレスが具体的にどういう人でとか、
ギャップイヤー、
「研究者」の年収体系、
ポスドク(博士研究員)の問題
パラドックス、
フェルミのパラドックスがエンリコ・フェルミさんで、
実はフェルミ推定の人と同じだったとか、
コペルニクスからニュートンにつながるまでの
太陽の流れとか地動説の確立とか。
個人的に思うのは、
本書が「課題設定の思考力」として
一冊の本にまとまっているのは、
インタビュアーの横山氏の力による所が
大きいと考えている。
前職の仕事で私は「会議ファシリテーター」を
務めた事が多々あったが、
会議で成果を出す上で重要になるのは
「テーマ選定」であり、
そして「そのテーマに沿っていかに
会議をすすめていくか」にかかっている。
実際、会議参加メンバーは経営者と幹部なわけで、
個性豊かであり、時間も限られている中で集まっている。
この本もまた、
とびきり優秀な方をインタビューしていくわけで、
何もしなければ彼らは自由奔放に
話したい事を話してしまうだろう。
(研究者なんてものはそんなものだし、
それで良いと個人的にも思う)
だからこそ、抽象化されたテーマ・・・
今回で言えば「課題設定の思考力はどこから来るのか?」
に沿って、彼らの回答内容を聴いた上で、
更に思考を深堀りする
「気の利いた返しと追加質問」がとても重要になる。
この難しさは私自身も仕事を通じて
理解しているつもりなので、
どちらかと言うと研究者よりも、
インタビュアーの横山氏の問いかけの方に
私の関心は寄せて読み進めた様に思う。
人は自身に対して
「問いかけた事以上に思考するのは不可能な生き物」であると私は思う。
したがって「何を」「どの様に」「どれぐらいの頻度で」
問いかけるのかで
人生は決まっていくと感じている。
問いかけをするには「言語化」が必要であり、
この言語化がいわゆる抽象化能力であるから、
問いかけの内容=その人の能力
だと個人的には考えている。
その上で、本書の「はじめに」に書かれていた
横山氏の問題提起文は震えた。
それは、
「地域の相互連鎖」と「分野の相互連鎖」の急速な進行である」
という言葉。
これほどまでに世界を俯瞰した上で
シンプルな言語化に納められるのは凄い。
以下はそのまま文章を引用する。
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産業や学問も含めてすべての分野において
世の中の事象が相互連鎖し、
これまでとは比較にならないほど複雑になっていく。
しかし、そのような事象を的確にとらえる
思考能力をわれわれは十分訓練されていない。
明らかに新たな能力の養成が求められている。
どのような能力であるかを別の表現でいえば、
伝統的、縦割り的枠組みを超えて発想し、
行動する「課題設定型リーダーシップ」である。
日本が、課題を解決できる国であることは
過去に証明されている。
欧米先進国に「追いつき追い越せ」であれ、
「豊かな中流生活」であれ、
すでに実績がある。
しかし、他に先駆けて課題を設定し、
世界に受け入れさせる能力が
あることはまだ証明されていない。
いま、日本が目の前に展開する複雑な事象をつかみ、
世界で最初に課題設定をすべきなのである。
すなわち、それが先端的な知と
思考能力にもとづいたリーダーシップなのである。
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【❷要約】
本書は、「東大エグゼクティブ・マネジメントプログラム(以下東大EMP)」の
知的プログラムを、可能な限り一般にも共有し、
東大EMPのエッセンスを再現しようと試みた本である。
東大EMPは年間約600万円ほどの参加費用がかかり、
民間企業や政府など分野の枠を超えて、
将来の幹部候補となる人材を募って
半年ほどのプログラムをこなす内容となっている。
本書の構成は実際の講師陣の内、
ジェロントロジー(老年学)、銀河天文学、
言語脳科学など、あらゆる分野から
著者がピックアップした講師6人に対して
インタビュー形式でオムニバス化した内容となっている。
講師の分野自体はまったくもって別個なのだが、
インタビューの主眼は一貫して
「彼らが卓越した成果を挙げられたのはなぜか?どのような思考や方法論を形成してきたのか?その背景には一体何があったのか?」を見出す事に
インタビュアーの横山氏は集中しており、
彼らの人生観を辿っていく事で
再現性を試みている事に特徴がある。
【❸仮説】
【どうすれば多様な価値観を持つ
様々な他者から素直に学ぶ事ができるのか?】
今後私はよりマネジメント比率の
上がった仕事を目指していく立場である。
今でこそ私は
「老若男女問わずあらゆる他者から素直に学び、
リスペクトの気持ちを持つ」事に
成功したと思っているが、
つい最近までの私はいわゆる
「こじらせおじさん」だった。
自分が正しい、
自分のやってきた事を信じ、
他者の意見は自分よりも低い。
表面的にも意識的にも、
本人にはその自覚はないのだが、
無意識下でそういう気持ちはどこかにあったと思う。
どうして今の様に思考転換できたのか?
と振り返ると、
私の場合は「課題感を持ったから」に尽きる。
「寝ながらスマホをダラダラ見て夜を過ごすような、
このままで人生良いのか?」
と不意に背中に冷や汗をかいた夜を34歳の時に経験して、
そこから明確に他人に
教えを乞うた記憶が鮮明にある。
ただし、上記の場合は「課題感を持った」所が起点になる為、
課題感を持つまでは認識は改めないし、
それは個人差を生む。
つまり、人によっては一生課題感を持たない可能性もある。
人生で思考を大きく改めるキッカケとして代表的なのは
①大病
②貧困
③戦争
であるが、大病も貧困も、
現代の日本で多くの人が経験できるかと言えば、
そうでもないと思う。
戦争も、少なくとも日本においては
自国から仕掛ける事も少ないのではないだろうか。
となると、教育過程において課題感を高めていく事が
今後の学校教育において
求められている事になるわけだが、
あくまで私は「企業経営において優秀な人材育成」
としての観点で
物事を書いているので、
「今社会人として世に出ている人たち」に向けて
解決策をなんとか見つけたいと思っている。
社会人以降、読書をする習慣はほぼない様に思われる。
それは楽天ブックス調べからも明らかである。
(参考URL: https://www.j-cast.com/kaisha/2019/02/17350473.html?p=all)
この事から導き出される解決策は、
「多くの人間が就労者である観点から、
仕事を通じて課題感を見出していく事」
しかないように思われる。
すなわち、「会社が教育機関としての機能を担う必要性がある」
と言える。
会社での仕事は一日8時間と仮定すると、
拘束時間も含めれば一日の1/3以上を容易に占める。
そしてそれが40年続く。
労働=苦痛の対価としての給与
となっている思考の公式は自らの人生を辛く生きる様に
してならない。こんなにもったいない事はない。
という事は、上司や先輩など、
社会的立ち位置が上にある人間こそ
積極的に人生観を教えなければいけないという事になる。
教えるのは「人としての在り方」であって、
作業手順だけではないのである。
仕事を通じていかに人生観が豊かになるか?
を導き出す必要が企業にはある。
これすなわち、その会社自体に目的やビジョンが
ハッキリする必要性が出てくる事になる。
やはり、中期経営計画の重要性が見えてくる。
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