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【感想文】思考の整理学(外山滋比古)

ページ数:223ページ 1983年著

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【なぜこの本を読もうと思ったのか?(自分の弱みや足りない点)】

・優秀な友人から「これは思考を鍛える上で勉強になる」と言われて紹介されたから
・ごちゃごちゃ駆け巡っては消える思考をクリアにしたい


【なぜこの癖を解消したいと思ったのか?】


新しい発想ができるようになりたい。
本来「改善」というのは


①辿り着きたい場所があり、
②目的地に最短でいく為に、今の課題を浮き彫りにして
③差を埋めていく
④空いた時間で新しい事に取り組む


となるが、思考がごちゃつき過ぎて目的地設定すらできない状態だった。
そんな時、この本に出会った。


部屋の整理をすると凄くスッキリする。

何かやりたい事が出てくる。

思考にも同じロジックが働くのではないか?
という安易な発想である笑


2,661文字/1,440文字

【❶結論】
思考の整理学とは、「頭の在庫検査」である。


ビジネスでも在庫を抱える会社は実地棚卸をする。


在庫数をチェックし、
陳腐化した商品を廃棄し、
減耗損を計上する。

これは頭の中でも起こっている。

・何を残し、
・何を昇華させ(一次情報︎➤二次情報︎➤三次情報。詳しくは要約にて)
・何を捨てるか?

思考の整理学とは、
脳内の在庫数と質を意思決定する事なのである。

情報の取捨選択は、価値観に基づいて意思決定となる。
したがって本質は「人生軸」を持つ事に戻るのだ。

遠回りな様で、結局この軸を持つ事が最短となる。

思考の整理の究極系は抽象化である。
「一言でそれを言える状態」と言い換えた方が良いかもしれない。
(著者はそれの最終形はことわざだと論じている)

仕事柄学んだ事だが、こと経営者と話すと、
彼らは1から10まで話す事を面倒くさがるし、
そして聞きたくもない。
時間に対する価値を重んじているからだ。
(したがって社長は常に(特に社員に対して)コミュニケーション不足になる笑)

だから、
私が経営コンサルタント時代に
常に気を配っていたのは

「それってつまり○○って事ですよね」と、
相手の話を聴いた時に話を要約して差し上げる事だった。

そうすると相手は
「話のわかるやつ」
「1聴いて10わかるやつ」と認識してくれるので、
より深い話に持っていきやすい。

もちろんこれはすべてに良い効果があるわけではない。
すべての経営者がこれを望んでいるわけでもないし、
場面にもよる。

例えば女性がする悩み話は解決策を
出してもらう事では一般的にはなかったりするので、
要約されるとかえって気分を害される可能性もある(経験談)

話を戻すと、
思考の整理学のメッセージは以下のアクションを喚起させてくれる。

①価値観を設定し、
②それに準じた本を読み、
③その本を要約し、
④仮説を立て、
⑤検証をする事

外山さんの語彙力の豊富さは読んでいてとても気持ちが良い。
何度もスマホで言葉の意味を調べては、
自分の知らない言葉がまだこんなにあるのかと
無知の知の喜びを感じてならない。
つまり私には伸びしろしかない笑

【❷要約】

東大・京大生協の書籍販売ランキングで
1位を取り続ける本書。


本書は大きく分けて

前半は「思考とは何か?思考をどう扱うか?何を思考すべきか?」
後半は「集めた思考をどう整理するか?」
という構成になっており、著者の経験に基づく
仮説と検証結果が述べられている。

前半の思考対象については
情報の種類について説明を述べ、

一次情報︎・・・事実のみの情報。解釈の余地なし(ニュースや新聞の見出しなど)
二次情報︎・・・一次情報に解釈を加えた情報または要約された情報。いわゆる「メタ化」
三次情報・・・二次情報を更に高度に抽象化させた情報。(論文など)

後半の思考整理については

情報のまとめ方、忘れ方、昇華のさせ方

という流れになっており、

彼の経験に基づいた話をまるで彼の講義を聴いている様に展開される。
彼の頭の中を覗いている感覚に近い。

外山氏の文章はとても人間くさい。
外山氏ほどの人ですら、
同じ事思っているんだって言う親近感を覚える。
(本を読んで「よし!もう学んだ」➤売る➤やっぱり必要になる➤買い戻す➤てへへ)

共感を呼ぶ行動とテーマが多く、
だから自然に自分でもやってみようとなる。

恩着せがましくこれをすると良いとは一切書かれておらず、
自身の経験と、なぜそうなるのが良いかをあくまで客観的に連ねているので、やらされ感がまったくない。

一貫して述べているのは、「思考とは醗酵である」事で、
とにかく醗酵される事にこだわっている。

ひょいと出た思考を発酵させ、
思いもよらぬ場所で活躍させる。

つまり著者が伝えたいのは、
‘’しかるべき情報‘’は記憶されて、
引き出せるようにしておかなければいけない、
と言う事である。

書き留めるだけではダメで、
どう書き留めて、どう残すかを記してある。
まさに思考を整理しているのが本書の特徴である。

【❸仮説】「つんどく法は本当に有効か?」


前々から気になっていた
「つんどく法」の有効性を確認できた。


具体的な方法として

・集中的に10冊読む
・一冊目こそ時間がかかるが、
二冊目以降はだんだん理解度が上がるので、
トータルでは当初ほど時間がかかる事はない

・感想文(要約込み)を書く
何事も弾み車であり、
初速はエネルギーを要するが、
すすめるうちに加速するらしい。
思考にも慣性の法則が働くようだ。

外山氏が言うには三冊目から同じ様な事を書いている箇所が出てくる。
(逆に意見が別れる箇所は諸説ありと言う事になる)

そう言う意味では(未体験ジャンルの)読書は
未知を既知化する行為であり、
10冊読破は既知を体系化・深化させる行為と言える。

私の前職では課題図書が50冊設定されており、
課題図書を読んだ後に感想文を書く流れとなっていた。
感想文は記憶の定着にも良いので、良い文化だと思う。

代表がよく言っていた「50冊を読んだら500冊を読め」は
この10冊体系化と合致する。

外山氏の提唱するメモの取り方や文章のまとめ方は、
赤羽雄二氏著書「0秒思考」での推奨例と一緒であるし、

中野巧氏著書「売れる文章術」でも、
まず一旦書き上げ切って、
そこから思い切って順序を変える事を推奨されていた。

確かに感想文を書けない人、初動が遅い人の特徴は

「読み終えるまで感想文は書かない!」
「準備が終わるまで行動しない!」

と言った様にある意味完璧主義なのかもしれない。
私も未だによくやってしまう。

だけども完璧主義と言っている割には
その発想の行く末が見えていないのも
完璧主義者の陥るワナで、
その時は覚えていても、絶対に忘れる。

「そんな事ない!」と
その時は覚えていても必ず忘れている。

だからまずは何も気にせず
思いっきりワーっと書いてしまう。

私自身も3冊目で関連性が出てきた事によって、
外山氏の主張は立証された形になる。

多読である方が人生を豊かにするのは間違いないだろうが、
本を読まなくても思考が整理されている人も中にはいる。

その人の特徴は「軸」がある事だ。
命題と言ってもいいかもしれない。
価値観といってもいいかもしれない。

その軸に対して起こる具体的事象や経験を
一般的命題に昇華(抽象化)をして、
最後に自分の納得の行く言葉に当てはめる。

したがってこの本はあくまで
「軸がある上で、その思考をいかに整理するかの本」であって、
軸をどう形成するかの本ではない事を注意されたい。


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