赤ちゃんとメンツの守り神

新しく人事管理システムを導入するため、システムの営業担当さんが説明とデモンストレーションに来社した。
こんなご時世にわざわざ来社させて申し訳ないなぁと思っていたら、相手方は新入社員を2人引き連れていらっしゃった。
担当さん2人と新入社員2人。
あわてて大きな会議室を取り直し、なんとかディスタンス確保。

話を聞いたら、デモンストレーションの機会が減ってしまい、新入社員研修が滞っているとのこと。
わたしみたいな理解力赤ちゃんOLが顧客のモデルケースとなるのは荷が重い。
どうか新入社員の方々には、わたしみたいな顧客がいることに絶望しないでほしい。

ところで弊社側の担当者はわたしと、9月末から産休に入ろうとしている先輩社員の2人。
先輩は妊婦さんなので、感染対策としてほぼほぼ在宅勤務をしてもらっている。
仕事内容を4月から少しずつリモートで引き継いでいるが、これまたわたしは理解力赤ちゃん。
先輩はこれから本物の赤ちゃんと対峙するのに、生まれる前から毎日子育てみたいなことをさせてしまっている。申し訳ない。

先輩は在宅勤務なので事前にリモートで打ち合わせをし、デモンストレーションはわたし1人で対応をすることに。
事前に行った先輩とのリモート打ち合わせで概ねの希望や予算、納期の目安を確認した。
とは言え、どういった機能が使えるのか、どれくらいの費用がかかるのかといったことを説明いただき、使用感をデモンストレーションしてもらう機会なので、あくまで今回は【お話を伺う】ってスタンス

以前すこーーーしだけ営業をしていた時、より明確で具体的なビジョンを持っているお客様の方が対応がしやすかった。
仮にビジョンに全く添えない場合でも、代替品の提案や時にはお断りの判断がより早く行えたからだ。
それを分かっているのに【お話を伺う】ってスタンスは少し心苦しかった。
しかし、今は少しでも具体的な情報がほしい。
他社とも比較検討するしってことでネ。

先輩と確認した条件を上司へ報告。
システムの担当さんが来る前にお茶の準備でも〜♪と思っていたら上司に呼び止められた。
「どんな機能があるか想定して、その機能を使った場合の業務時間の短縮試算とか出しておいた方が良くない?
あと、先に導入のための稟議書作って部長に出しておこうよ。
システムの担当さんが来社してからバタバタするのが対外的にいちばんやばいからさ、急いで急いで。」

えー

まぁ無茶振りとか理不尽とか、そういうのは社会人だから全然耐性あるんだけどね。
想定が大切なのは重々承知しているのだけど、今から機能の説明をしてもらうのに、それを勝手に予想して試算するのって意味あるのかなぁ。
というか何も聞かずに予想で稟議書作るのはもっと意味あるのかなぁ。
う〜〜〜ん?

色々と気になるポイントはあったんだけど、わたし的いちばんの気になるポイントは
【対外的】

なんの準備や確認もせずにデモンストレーションに臨むのは失礼だなと分かる。
でも事前準備をする理由は「対外的にやばいから」ではない。

文章では伝わりにくいかもしれないけど、上司はひどくメンツを気にする。
取引先に不手際があった際のコメントがいつも「〇〇社のメンツ丸潰れだな」なのがその象徴だろう。
極端だが、損害や不利益よりもメンツが潰れたことを気にするのだ。

そんな【対外的】なことばかり考えていて、議論の焦点や元々の目的から逸れてしまうことが多いと感じる。
上司が全面的に間違っているわけじゃないけど、どんな項目でもメンツを重視されるのはちょっとしんどい。
きっとそれを修正したり指摘したりする役目をわたしが担えば組織として強くなれるんだろうけどなかなか難しい。
自由奔放で無知な赤ちゃんOLにも社会性ってもんが少しはあるのよ。

みんな赤ちゃんになってメンツなんて気にせず泣いちゃおうよ。

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