【小説】『この学校、大丈夫なのか?』Vol.4
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ぼくは、ていねいだけど明らかに小学校高学年くらいの男の子が書いたであろうそれらの文字をそこまで追うと、
「へえ……すごいね」
と言って水色のカバーのついた冊子を図書館の机の上でパタンと閉じた。
光一も、
「ねぇ~。おれも一年だったしわすれてたー。ちょっと大げさになっているかも」
と言ってからから笑った。
「大原さんが当選したあと、先生方はけっこう頭を抱えていたよ。でも、大原さんはじめ、一緒に児童会役員になった人たちも一生けんめいだったからさ。いろいろ試していって、それで、本当に、宿題やテストがなくても済むような授業内容に変えてくれたの。そしたら、たしかに遊ぶ時間、クラブや中学受験に集中できる人増えて。大和くんも、屋上からぶら下がっているたれまくに、『ブラスバンド部、全国大会出場!』とか、『サッカー部県大会準優勝!』とかあるの気づいているでしょ?」
ぼくは、言われてみればたしかに……と、いつも登校するときに、何気なく目をやるところにそのような文字がゆれているのを見たことがあったことを思い出した。
「ちなみに、いじめに関しては?」
ぼくは、冊子を読んでから気になったことをそう聞いてみた。
「あぁ。なんかね、そのあと、ポスターが貼られたねぇ」
「『イジメ、ダメ』みたいな?」
「いや、『つらいときは、泣け!』ってやつ」
「え?」
予想外の解答にぼくは目を丸くした。
「大原さんいわく、『いじめを気づかれちゃいけない』とか、『泣くのは弱いやつがやること』って考えが、いじめを気づかせにくくするんだって。イジメている側も、相手が泣いていなかったら、傷ついていることに気づかなかったりして。だから、つらいときは、泣け、って考えを広めたの」
「へぇえ……」
ぼくが感心していると、光一がイスからぴょこんと立ち上がって、
「そういうわけだからね、宿題、テスト、なくて上等! 後先のことは気にせず、今は思いっきり遊べばいいってわけ。どうせ中学・高校になったら、いやでも宿題もテストやることになんだから。さ、大和くんの疑問解消したところで、校庭行って、遊ぼ!」
と言いながら素早く冊子をもとあった場所にしまって、ぼくの手をとって、かけて行った。
「こらー、校舎内では走っちゃいけません!」
と後ろから司書の先生に言われて、ぼくらは、はーい、と早歩きになる。
こういうところはちゃんとしているみたいで、ぼくはほっとした。
――うん、この学校、大丈夫だ。というか、こっちの学校の方が良いかも、正直。
そう心の中でつぶやいて、ぼくらは、ドッヂボールをするメンバーの中に「入ーれーて」と言って入っていった。
(つづく)