【小説】「この学校、大丈夫なのか?」エピローグ
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そんなわけで、ぼくはこの学校に宿題やテストがない理由を知って、その理由に納得して、この小学校ではこの制度にあまえさせてもらって、思いっきり遊ぶことにした。
中学に入ったばかりの頃は、「小学校で遊びすぎたかな」って一瞬後悔するくらい、みんながかしこく見えて嫌だなと思ったけれど、すぐその生活にも慣れた。
一方で、中学に入ってからは、みんなで外で遊ぶ機会が一気に減ってしまっていた。みんな制服を着ていることもあって、体育の時間の前以外の10分休みは、ほとんど遊ぶことなく、教室移動、トイレ休憩でその10分は過ぎていった。
ぼくはふと、光一が言っていたことを思い出す。
「宿題、テスト、なくて上等! 後先のことは気にせず、今は思いっきり遊べばいいってわけ。どうせ、中学・高校になったら、いやでも宿題もテストもやることになるんだから」
ぼくは、そうか……とうなずく。
勉強はいつだって、大人になったって、やろうと思えばいつでもできるんだ。でも、同級生と思いっきり遊ぶっていうのは、小学校のときとかじゃないとできないことだったんだな……
今のぼくは、家のパソコンでこの物語をつづっている。
3月に休校になって、中学の友達とも、なかなか会えない日々が続いて、6月くらいまではオンライン授業をしていた。授業はオンラインでもできるんだね、びっくりした。
でも、やっぱり、おにごっことか、ドッヂボールとか、そういうことは、リモートじゃ全然できないんだよ。まぁ、オンラインゲームやるだけでも楽しいけどさ。今から考えると、本当に貴重な機会だったんだなって思うんだ。
大切なことは、今できることを思いきり楽しむこと。
あの小学校が教えてくれていたことに、今頃ぼくは気が付く。
なら、今のぼくは、今だからできることをしよう。
たとえば、ほら、こんな物語をつむぐことによって、ね?
(おしまい)