【影響を受けたアーティスト|DAY5】
IPPUDO『Live and Zen』
Release date: 1984.7.21
EPIC SONY
市内のレコード店に行きたい一心で、高校受験対策を名目に、市中心部にある進学塾にわざわざ通っていた帰り道、大量に街貼りされた緑色のポスターを目撃する。
FILE2
MASAMI TSUCHIYA
AKIRA MITAKE
STEVE JANSEN
RICHARD BARBIERI
PERCY JONES
DAVID VAN TIEGHEM
「STEVE JANSEN!? RICHARD BARBIER!?
二人が熊本に来るの???????」
熊本は九州地方第三の都市、といえども、コンサートの招致はなかなか、
ましてや海外アーティストは福岡止まりが良いところで、
見たいアーティストは基本見れないのがデフォルトの街である。
「本当に来るのかなぁ?」
しばらく疑心暗鬼であったが、長らく掲示され続けているポスターを眺めて
「(彼らが)来るなら行きたい。ここはチケットを買ってくれるよう義父に頼み込むしかない。」と決意する。当時のお小遣いは月500円。お昼のパン代を浮かせて貯めたお金で当時2,800円だったアルバムが月に1枚ようやく買えるかどうかの経済力では、高額のチケットは親に頼み込んで買ってもらうしかない訳である。
が、
「馬鹿になるから」とTVも漫画も禁止にした程の堅物である義父の事、
よほど機嫌の良い時を狙って話をしないと、とても音楽の、それも海外アーティストが参加するようなロックコンサートのチケット購入を了解してくれるとは思えず、有名ホテルの料理長であるため夜勤が多く自宅に居る日も少ないので、頼みたいけど頼めない、声をかけたくてもかけられないという日が、何日も何日も続いていく。
開催日まで残りわずか、いよいよチケットを買わなければコンサートも見に行けない、という段になり、意を決して襖を開け、遅い晩酌中の義父に声をかけた。
「買って欲しいものがあるのですが、、、」
開催直前に買ったチケットは3階席。メンバーは豆程度にしか見えず、良席とは程遠いものの、それでも
<自分が自分の意思で好きになったものを自分の口で表明して観に来れた>という事実がとても誇らしく、少ないお小遣いを貯めて初めて自分の意思で買った当時流行りのボロルックを纏った中学生は、コンサートが終わった後も会場前の噴水を眺めて、音の余韻に浸っていた。。。
思えば、
<自分の意思で自分の好きなものを選んだ>この瞬間が
大人への階段を踏み出した第一歩かもしれないですね。
このライブCDは、そんなコンサートにまつわるもろもろの思い出を一気に思い出させてくれる1枚です。
上記の通り、我が家はTVの視聴が禁止されていたので、私は ♪すみれ~が某化粧品のCMソングであったことも知らず、一風堂を知ったのは、行きつけのレコード店の店長さん(David Bowieの熱烈ファン)の紹介から。
BowieファンであるがゆえにJapanや一風堂もしっかり押さえておられて、
「一風堂の英国進出用の映像がとてもカッコ良いよ」と『COSMIC CYCLE』(3枚目のアルバム『RADIO FANTASY』の英国リリースを受け、英国進出時に作成されたおそらく日本で最初のPV)を店頭でみせてくれた事がきっかけです。
TV禁止がきっかけとなって、短波ラジオのチューナーをぐるぐる回しながら、遠くの県や国の音を拾う事が楽しみになっていた私にとって『RADIO FANTASY』というコンセプトはまるで「自分ごと」だったし、
砂丘・水・火・能・ペルシャ(もしくはアラビア風?) という自分が好きなイメージ満載の映像と、店長さんが観に行かれた(おそらく)日本青年館のライブの模様 ー 客席に大きな箱が置いてあって、なんだろう?と思っていたら、開演のベルが鳴って一風堂のメンバーがその箱から出てきた!ー
という話が実に斬新で格好良くて、すっかり虜になってしまった訳です。
『COSMIC CYCLE』より。砂丘×水×鏡×アラビアのロレンスの掛け合わせ
『COSMIC CYCLE』より。和装束で砂丘を彷徨う
『COSMIC CYCLE』は 井出情児さんの作品。
この動画作品が大好きすぎて、井出さんがCAYで写真展を行った時には、
お願いして2回観せていただきましたよ😆
そんなこんなで『RADIO FANTASY』と『RICE MUSIC(土屋氏のソロアルバム・MICK KARN, STEVE JANSEN, RICHERD BIRBIER参加)』
の掛け合わせのようなFILEツアーのセットリストと、そのライブの模様を収めたこのライブ盤は、私のベスト盤的な愛聴盤となったわけです。
何と言っても演奏メンバーが豪華!強力!!!
そして後日、音楽専科(だったと思う)に掲載されていたこのFILEツアーの同行レポに「FILEツアーというのは、普段コンサートを楽しむ機会が乏しい、地方都市の人たちに音楽を届けたくて企画された」的な話が書いてあって、地方民の私は感涙しましたね。
好きな音楽・影響を受けた音楽はいろいろあるけれど、
自分のオリジナル曲にその影響が顕著に表れているのは一風堂のような気がするなー、と自分では、昔からなんとなく思っていたりしたのですが、
この章を記載するにあたり、『MASIC BOX』(2006/12/20 にリリースされた一風堂のコンパイルBOXセット)をようやく開封して同封のブックレットを読みまして、
・プラスチックスやYMOやはデビューしていたけれど、僕らの目指す音楽はそれとは違うと思っていた(土屋さん)
・ちょうどリズム・ボックスが出始めた頃(中略)ロックの世界でパルス的な信号を聴きながら叩くというような、機械と融合するような流れが登場してきた。これをもっとバンドとして展開していきたいなと思ったんです(藤井さん)
・僕がアレンジャーを始めたばかりの時期は、まだアメリカン・サウンドが主流だったんですよ。(中略)そういう時期にシンセサイザー音楽とか、現代音楽、ミニマル音楽のような、新しい音楽に挑戦できるきっかけを与えてもらった。(見岳さん)
という具合に、数ある日本のバンドのなかでも何故私は一風堂が好きなのか?という理由が明確に言語化されていて、なんだかすごく腹落ちしました。
そんな一風堂の曲を集めたプレイリストを、中学当時つくっていたMIXカセットTapeを思い出しながら作ってみましたよ♪
♪すみれはあえて外してみました。そしてLIVEセットは後日つくる想定で、
ここはあえて1st〜4thの入り口?まででまとめてみました。
あらためて聴いていると、別に私のライフスタイルをなぞっている訳でもないのに、アルバムのコンセプト自体が1stのTVから3rdのRadioに変化しているのが奇遇です(笑)
余談ですが、上京して数年後、ドラムの藤井さんのお弟子さんに偶然お会いする機会がありまして。
ぜひ一緒にバンドをやりませんかとお誘いはしたものの、残念ながら、いろいろとご事情が重なって叶わなかったのですが、
「今自分が在るのは藤井さんのおかげ。ドラムだけでなく人として大切なことを教えてもらった。藤井さんに出会わなかったら自分が今どうなっているかわからないっす。」とおっしゃっていたのが、ずーっと心に残っています。
今回ご紹介している『Live and Zen』の音源はオンライン上に公式のものがなさげでここに貼り付けられないので、参加ミュージシャンズの目玉のお一人、PERCY JONES氏の珍しい動画を偶然発見したのでそれを貼ります。
一風堂の楽曲にこの「ぶおんぶおんしたベースが乗っかっている」と想像すると、FILE2 の模様をイメージして頂けるのかな?と思っています。
前回の投稿でご紹介した "ジャコ・パストリアスにはあまり関心がない MICK KARN氏"ですが、PERCY JONES氏の事はとても敬愛なさっておられていて、実際JAPAN解散後のソロのBassのアプローチはどんどんPERCY JONES化(?)していました。
ジャコ・パストリアス氏とMICK&PERCY氏のベースの違いって、その出所の違い(フュージョン or ロック)によるものじゃないかなーと思っていたら、Wikiにもそのように書いてありますね。
ジャズの高速レガートやリア寄りのピックアップでタイトに演奏するジャコに対し、パーシーはブリティッシュ・ロック、ブルースをルーツとしたベーシックなフレーズを多用、またフィンガリングもネック寄りである。
個人的に『Pavane』 好きなので、このビデオはイントロダクションからキュンときます😆
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