焔
そいつのポイ捨てた吸殻が
私の洋服にぶつかった
わざとじゃないみたいだし
火傷もしてなければ服に穴も開いてない
あ、大丈夫ですよ~と日本一平和主義な私は
その場を諫めようとしたが
背後にものすごい怒りの炎が迫ってた
怒っちゃダメよ、こんなことくらいで
その怒りの源がどこから来てるかわかってるから
ね、私は大丈夫、とあなたのことを抱き締めた
もしもあの時私が火だるまになってたら
覆いかぶさってでも助けてくれたでしょうね
そんなあなただから大好きなのよ
私のことになると我を忘れるのが玉に傷
だってものすごい形相で
いつまでもいつまでも
ずっとそいつのこと睨み続けてたもん
普段は温厚な犬のように穏やかなのに
あなたは自身の内側に焔を秘めている
いつもは休火山であるそれの
導火線を握ってるのが私
自分の都合では決して怒ったりしない大人なあなたが
一瞬にして修羅へと変貌する危険なスウィッチは
全部私を愛するが故だとわかっている
でもダーリンそんなもの必要ではないくらい
私もあなたを愛してるのよ
その火山は眠らせてしまいましょう
愛する人の為だけに怒りを発動させる危ういあなたが
心配でないと言ったら噓になる
嬉しいよもちろん嬉しいけどね
私のことを守らなきゃって本能に刻み込んであるんでしょう
でも大丈夫だから私なら大丈夫だから
秘密にしてるけどケンカも強いから
育ちのいいあなたと違って昔は悪かったのよ
だから万が一もしもタチの悪い輩に絡まれたら
私も一緒に戦うから
あなたが一人倒す頃には
全滅させてるかもしれないね
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