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その名に偽りなし。ドラマ『美しい隣人』(2011)

あまり意識していなかったけれど、私は結構、仲間由紀恵が好きなのかもしれない。

昔、仲間さんがCMキャラクターだった頃の資生堂商品に惹かれて、『TSUBAKI』のシャンプーとか、『ビューティーボルテージ』というシリーズの化粧水を買っていた気がする。
『トリック』のコミカルで可愛い演技も好きだし、仲間さんが大奥総取締・江島役だった映画『大奥』も良かった。

一番好きだったのは、『美しい隣人』というドラマだ。
タイトルにもある通り、とにかく仲間さんが綺麗だった。しかも、隣人の奥様役が檀れいで、両隣どっちを見ても美しいという眼福ドラマだった。

○あらすじ

あなたは、“お隣の人”のこと
どこまで本当に知っていますか??

 仲間由紀恵が演じる、奥ゆかしく魅力的かつ、どこかミステリアスなナゾの美女=沙希が、檀れい演じる平凡だが幸せな主婦=絵里子の家の隣に引っ越してくるところからドラマが始まる。
 沙希の出現により、絵里子のそれまでの平穏な日常が、思いがけないスリリングな展開で崩れてゆき…?

 沙希の目的は、いったい何なのか?
 なぜ、絵里子は、ターゲットにされてしまったのか?

 檀れい演じる絵里子の夫で、仲間演じる沙希に誘惑されるという、二人の美女に翻弄される会社員・矢野慎二役を演じるのは、渡部篤郎。 

  「女は、苦しむ女を見るのが好き。」

 “女”VS“女”。

 究極の心理サスペンスが、幕を開ける—

『美しい隣人』公式サイトより

(以下、うっすらネタバレを含みます。)

このドラマ、ストーリーも面白いが、凝っていると思ったのが登場人物の衣装。

檀れい演じる絵里子は、上品で清楚な奥様。
常にヴァンクリのネックレスを着用し、家の中でもふんわりスカートにストッキング、純白のエプロンといった出立ち。絵に描いたような幸せ奥様スタイルだ。

一方、隣に越してきたミステリアス美女・仲間由紀恵演じる沙希は、登場時はモノトーンのシャツやカットソーにパンツスタイルといった、シンプルカジュアルな装い。

この沙希という女は、ある思いの元、絵里子に成り代わろうと企んでいる。
絵里子の夫を奪い、家族や友人に取り入り、あっという間に気に入られ、絵里子の居場所をどんどん奪っていく。その目的とは・・・・?
沙希のスリリングなまでの美しさと不気味さが、このドラマのキモである。

次第に沙希は、絵里子のような女性らしいシルエットや、ふんわりした色味の服を着るようになる。
始めは黒地のワンピースなど、自身のスタイルの延長程度の服装だが、物語が進み、絵里子の居場所をジワジワと侵食していくにつれて、明るいベージュのカーディガンに淡い色のスカートなど、まるで絵里子のコピーのようなファッションに変化していく。
反対に、沙希によって精神的に追い詰められていく絵里子は、以前なら着なかったような、モノトーン無地の地味な装いに・・・・。

これは意図的な演出だったらしく、放送当時に公式ホームページで、二人のコーディネートを画像付きで解説するコーナーがあったと記憶している。
二人のバランスが崩れていく様をファッションで表しているところがすごく面白くて、毎週ワクワクしながら観ていた記憶がある。


このドラマ、放送が2011年で、最終回が3月15日、つまり東日本大震災の直後というタイミングだったため、自粛ムードの中の幕引きとなってしまったのは残念だった。
私もリアルタイムで観ていたが、沙希が「ペチカ」を口ずさみながら海辺を歩く場面など、不自然に長く感じるシーンがあり、もしかして震災の影響でシーンの差し替え等があったのかな?と感じる部分もあった。

ラストシーンも少し幻想的というか、夢のような映像の中で、沙希が口パクで何か呟いて終わるという、ぼんやりしたものだった。
余韻が残るような後味が悪いような、不思議な終わり方のドラマだったように思う。

しかし、全体的には満足感が高かった。
とにかく、メイン女優2人のビジュアル的な美しさと、ファッションを使った巧みな演出が印象に残る、ゾクゾクする作品だ。

BGMも、繊細で美しくて良かったなぁ。
主題歌は東方神起 の「Why? [Keep Your Head Down]」。一見ミスマッチにも思えるハードな曲だが、回を重ねるごとに不思議とピッタリに思えてきて、毎回イントロが流れる度にテンションが上がった。

『美しい隣人』が放送された数年後、続編(前日譚)である『サキ』というドラマも放送されていたようだが、こちらはまだ観れていない。
本作のように凝った演出があるなら、ぜひ観てみたいと思っている。


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