【恋愛小説】君を助けるための石 15話
尊は鈴と結婚して10年…幸せに暮らしていた。
ある日、突然鈴が倒れてしまい意識不明となった。しかも原因が分からない…
そこに、伊邪那岐神が現れて鈴の原因は、鈴が持ち帰った石にあると言う。
その石を返せば鈴は助けられると…
尊は鈴を助けるために、過去に一緒に行った神社に石を返しに行くことにした…
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15話 出雲市の浜にある神社
鈴が倒れて4日目 11時
尊は考えた…
鈴は、子どもが欲しくて石を持ち帰ったのかな…
尊と鈴は、結婚してすぐ子どもが欲しいと思っていた。
でも3年経っても出来なかった…
それで、鈴が不妊治療をしたいと言った。
でも、尊は不妊治療は辛いというし…
自分も、そこまでして作りたくはなかった。
だから…鈴には、出来なかったとしても、それでいいじゃないか…
俺は夫婦だけでも、全然かまわないと言った…
でも、鈴は不妊治療をしたいと言った…
俺は、どうしても嫌で…
喧嘩をすることも、しばしばあった。
一時は、夫婦の会話もなく…
険悪な時もあった。
でも、いつの頃からか鈴は子どものことを口に出さなくなった…
それから、また仲良く出かけるようになったのだ。
でも…繭さんの言う通り、鈴は諦めてなかったのかもしれない。
―――子授けの神社って行ったことあるっけ?
尊は、覚えがなかった…
―――どんどん神社に行くしかない…
尊は、スマホの写真を見た…
―――次の神社は…島根県出雲市の浜にある神社だ…
―――行ってみよう
尊は、慣れた手つきで、写真の上に石を置き
目を閉じ…目を開けた…
そこは、海だった…
砂浜の先に弁天島があり、そこに鳥居と祠が見える…
ここは3年前の、お盆休みに旅行に来た時に来た神社だ…
ちょうど干潮だ…良かった…
あの時は雨が降っていて…
浜を歩くのが大変だった…
下に、ご賽銭箱があって…下から参拝した。
上に見える祠には、豊玉毘古命が祀ってある。国譲り、国引きの神話で知られる浜だそうだ。
弁手島近くの砂を、縁結びの神社に持って行き交換すると良いとされている。
ここで石を置こうにも、祠には登れないし…
賽銭箱のあたりに置いてみるしかないか…
尊は、石を置いてみたが…
石はやっぱり光らない…
弁天島の辺りにも置いてみたが…
変化はなかった。
ここではないようだ…
ここは、鈴が石を持ち帰るとしても、無理があるか…
あの時、この後で灯台に行ったんだ。
海が荒れていて…でもすごくいい灯台だった…
確か…あの時の旅行の前日に、疲れてソファで寝てしまった鈴が…
冷えたのか…灯台の辺りで、お腹を壊してしまったんだ…
本当はその後で、縁結びの神社に行く予定だったが
行くのを止めて、旅館に行って…
その後で、俺が薬を買いに行ったんだ…
そして、翌日には良くなったから
旅館近くの大きな神社に行ったんだ…
次は、その神社だな…
一旦、帰るしかないか…
尊は、鈴の病室に戻った。
鈴は、変わらず眠っている…
鈴は、どこの神社で石を持って帰ったのか…
石を持って帰れるような神社あったかな…
いくら考えても思い出せない…
―――少し、疲れたな…
―――けど、神社にも行きたい…
―――そういえば、朝から何も飲んでなかった…
水分補給をしてから行くことにするかな…
尊は、病院の売店に向かった…
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